リサーチ委員会 〜旧調査研究方法検討委員会〜 委員会トップへ
   ホーム委員会リサーチ委員会調査研究方法検討会調査研究方法検討会 かわら版調査研究方法検討会 かわら版 第51回調査研究方法検討会かわら版

  委員会の概要

  リサーチ委員会開催案内
(委員のみ)

  所属検討会および
「子どもネット」
  調査研究方法検討会
  ワクチン研究検討会
  子どもネット
  事故予防検討会

  リサーチアイデアバンク
  リサーチなんでも相談

調査研究方法検討会 
かわら版

  質的研究方法検討会 

   


調査研究方法検討会 かわら版

■ 第51回調査研究方法検討会かわら版 ■

 去る11月12日(土)、13日(日):品川イーストワンタワー(東京)にて第51回調査研究方法検討会が開催されました。場所の設定・準備などは宮田章子氏,加地はるみ氏のお世話になりました。ありがとうございました。また,岡藤隆夫氏のお世話にて慈恵医科大学准教授 臨床研究開発室室長 浦島充佳氏により特別講演も開催されました.検討会の報告は、各演者の方へお願いしております。ご発表いただいた研究の概要とともに検討会で議論された内容も含めご報告いたします。
    12日(土)
    ○「新型インフルエンザ流行期における小児科臨床医の臨床プロセス研究パート4」
    岡本 茂
     今回方法論として採用したM‐GTA(修正グランデット・セオリー・アプローチ)が適している研究とは特定の社会空間での社会空間での相互作用による人間行動のプロセス性の現象を確認する場合でこの場面において研究者の強い問題意識と解決意識がresearch question構想の動機になる研究とされる。 本研究は研究する人間である(岡本)は京都・大阪で定期的に夜間小児救急の当直をおこなっており,新型インフルエンザ(A/H1N1 2009)流行期において刻々と状況が変化する中で、小児救急現場において小児科医師と患者(保護者)との人間行動のプロセス性の現象を身をもって確認することができ,これがresearch question構想の動機となった。 本研究はこの原点にたって、データの収集・分析テーマの設定・分析プロセスから概念を形成した。その後、概念からカテゴリーを形成し結果図を作成して提示した。今後、結果図からスト−リーラインを書き論文化の予定である。

    ○「日本小児科学会雑誌研究 (リサーチアイデア)」      岡本  茂
     日本小児科学会は1896年に第一回総会,それ以前の1895年には機関誌「小児科」が発刊された。日本の小児科医のルーツ・コアの部分はここにあるといえる。現在,各大学の医局史・教室史は存在するが一小児科医としての視点からの総会・学会誌を総合的に検討した研究はない。研究者(岡本)は一小児科医として小児科医のアイデンテイを確かめるため本研究案を立案した。他に研究案もあるがまず第1研究として学術集会研究をあげる。
    第1研究:学術集会研究
    方法:学術集会を中心に学会誌を読み込むこと。(蔵:京都大学医学部図書館)
    研究期間:2012〜2013
    研究方法:内容分析 (テーマ・会期・会場・演題募集要項・演題数・演題分類・シンポジウム・講演など)
    倫理的配慮:本研究はすべて公開された情報でありまた、小児科学会全体をターゲットにした研究であり特定の医局をターゲットにした研究ではない。したがって基本的には倫理的配慮は不要。
    パイロット:10年から20年程度の内容に関しての詳細を決定する。


    ○ 特別講演 「ビタミンDによるインフルエンザ予防」
           慈恵医科大学准教授 臨床研究開発室室長 浦島充佳氏
     小児科臨床医で疫学の専門家でもある浦島氏により,最近のご研究「ビタミンDによるインフルエンザ感染予防効果の研究」(Urashima M,et al.Randomized trial of vitamin D supplementation to prevent seasonal influenza A in schoolchildren. Am J Clin Nutr. 2010 May; 91:1255-60)を例に,臨床研究ついてご講演いただいた.ビタミンDに関する先行研究として,結核菌をマクロファージが貪食し,その際に活性化される蛋白CathelicidinにビタミンDが関与している報告や,インフルエンザウイルスが細胞へ侵入する際に,それを防御するペプタイドの一つDefensinにもビタミンDが関与している報告,またインフルエンザ流行期に人の血清ビタミンDレベルが低下している報告などがヒントとなり浦島氏の研究へ発展していった経緯を詳細にご紹介いただいた.本研究を例に疫学の研究デザインとしてランダム化比較臨床試験の重要性とともに,バイアスが発生する例をCompliance, Contamination / crossover, Co-intervention, Count(loss to follow up) の4Cで表現され,プロトコール通りにできなかった脱落例やコントロール群でプラシーボ以外の服用や規定外の介入などにより対象が修飾されてしまうリスクについても解説いただいた.現在,ビタミンDと喘息やアトピー性皮膚炎との関係などの研究が進行中であり,現役の臨床小児科医として従事されており,外来小児科での臨床研究の重要性とともに楽しさも感じる興味深い講演であった.


    13日(日)
    ○「小児科外来研修課程の改善に向けた後期研修医のニーズに関する研究」
    市河 茂樹
    I.背景
     日本では後期研修医の小児外来研修方法は確立しておらず、個々の研修病院が独自に外来研修を提供している。今回、小児医療現場に適した後期研修医のニーズを満たす外来研修方法の提言を目標に研究を企画した。
    II.方法
     小児科後期研修医11名を対象に、外来研修における、1)困難、2)必要な支援、3)期待する研修システム、をテーマにFocus Group Interview(以下FGI)を行い、匿名化後に内容分析により解析する。FGIの実施・解析は共同研究者である筑波大学人間総合科学研究科の協力の下に行う。
    III.検討結果
     1)対象者に自由に発言させ、かつ特定の個人の意見が全体に反映されないための配慮が必要、2)解析が恣意的にならないか、3)対象者が少ないのではないか、との意見を頂いた。
     検討会を受けて、1)FGIには医療者は同席せず、司会はインタビュートレーニングを受けた研究者が行うこと、2)FGIの専門家を含めた複数の研究者が解析すること、3)質的研究であり、妥当性を高めるためには対象者を増やすよりも対象者の属性を明確にすること、を改善点とした。

    ○「乳児結膜炎に対する母乳点眼の有効性の検証」
    筑後小児プライマリケア研究グループ 杉村  徹,ほか
     母乳には,IgAを例とする免疫グロブリンやラクトフェリンなど感染防御に関与する物質が多く含まれている.本研究の目的は,母乳が乳児の結膜炎に有効か否かを明らかにすることである.調査機関は有志小児科クリニック7施設による他施設共同研究である.方法としてランダム化比較試験を行う予定であり,今回,研究デザインについて検討会にて議論を行った.眼脂を主訴として来院した生後6ヶ月までの乳児を対象に,無作為に母乳点眼群とコントロール群へ分類.1週間の経過観察を行い評価する.主訴は具体的に3日以上繰り返す眼脂とした方が良いとの意見があった.また,コントロール群の点眼は抗菌薬の含まない人工涙液を提案された.また,採乳方法や母乳を点眼する器具の清潔性を保つ方法について議論された.パイロットスタディーを行い,今後,再議論する予定である.

    ○「同時予防接種に関する文献的考察」
    日本外来小児科学会診療ガイドライン検討会 中村 豊,前原幸治
    DTP+Hib同時接種 対 DTP単独接種 (中村 豊)
     日本でも多数行われているDTPとHibの同時接種(混合接種)とDTP単独接種の安全性と免疫原性の比較を行っている文献を収集し質的検討を行った。ネットでの検索結果とKingによるreviewやPlotkinの教科書の参考文献をあわせて文献リストを作成し、その中からDTPとHibの混合ワクチン接種または2者の同時接種と、DTP単独接種を比較している文献を抽出した。その内容を検討しsystematic reviewを試みた。
    (結果)DTPとHibを含む組み合わせの同時接種に関連した文献を84編収集した、そのうちDTPとHibの2者の同時接種とDTP単独接種を比較した文献は、国内で1編のみであった。海外文献は15編あったが、うち2編は学会抄録、1編はレターであり内容の批判的吟味をするには不十分であった。16編の論文に記載された結果を検証したところ、以下の点が明らかとなった。1)DTPのそれぞれに対する抗体価の上昇は同時接種の際も個別接種と同様に感染阻止濃度にまで上昇していた。2)海外では結合蛋白の異なる数種類のHibワクチンが市販されており、16編の報告では4種類のHibワクチンが使用されている。日本で使用される破傷風トキソイド結合ワクチンを用いた報告は8編で、DTPも国により内容が異なることを考えると日本と同じ形での同時接種の研究は限られている。3)安全性の検討のうち頻度の高い局所反応や、発熱などの全身反応に関する検討は多数例で行われているが、突然死など頻度の低い副反応に関する検討は、今回検索した文献での研究方法では十分な検討ができない。同時接種で突然死が増加するかどうかの研究には、別の方法をとる必要がある。
    DTP+PCV7同時接種 対 DTP単独接種 (前原幸治)
     Hibワクチンと同様に日本でよく行われているDTPとPCV7(プレベナー)の同時接種とDTP単独接種の比較を行っている文献を収集し検討した。
    方法としては、
    1)Pub MedでDTPワクチン、肺炎球菌ワクチン、安全性、免疫原性を検索語として抽出した文献8件(20011年6月時点)
    2)2007年にVaccine誌に発表されたOosterhuis-kafejaの肺炎球菌ワクチン接種群と非接種群との比較検討したReviewに取り上げられた文献38件を検討した。
    (結果) 調べた範囲ではDTPとPCV7の同時接種とDTP単独接種の安全性と有効性を比較検討した文献は見つからなかった。
    参考としてDTPを含む多価混合ワクチンとPCV7との同時接種を検討した文献は12件あったので、抗体価から見た免疫原性について検討したが、はほとんどの文献で明らかな差はみられなかった。
    今後日本でよく行われているDTPとPCV7の同時接種の安全性、有効性を検討した研究の報告が待たれる。

    ○「共同研究 臨床診断の根拠を調べる(集計報告)」
    日野利治,青木才一志,絹巻 宏,小林 謙,櫻木健司,福田弥一郎(KAPSG 近畿外来小児科研究グループ),卯月勝弥
     日常診療において、我々がどの様な診断手技や検査を用いて、何を根拠にどの程度診断が出来ているかを調べる共同研究を7名の小児科医で行った。方法は、2010年11月1日からの一年間、一日の診療で一番最後に38.0C以上の発熱で来院した初診の小児患者に対して行った診断手技その陽性所見、検査とその陽性所見、診断名、診断根拠、診断確実度を自己判定で記録し、データを集積し、共同研究者1名あたり240例8から289例を記録し全体で1800例のデータで検討した。結果、患者あたりの診察手技数は全体で平均5.3±1.3で研究者間で大差なく、咽頭視診と胸部聴診はほぼ100%、腹部触診も90%近く行われていた。頚部触診、腹部聴診、耳鏡検査、髄膜刺激症状の診察は人により100%近いひととそうでない人の差が大きく、胸部打診は全体でも2%と実施率が低かった。患者あたりの身体所見陽性数は、全体では1.1であったが研究者により0.5から2.8と差が大きく、とくに咽頭所見ありが100%近いものから30%程度のものまで一致を見なかった。患者あたりの検査数は0.1程度のものと 0.3〜0.4程度の者、1.0近い者と診療スタイルにより3グループがあるようにも思われた。実施した検査の陽性率は迅速検査、検尿、検血、CRP検査とも3割程度で、研究者間でもほぼ一致していた。インフルエンザ迅速検査実施数は、流行と一致していたが、その他の迅速検査では流行との一致はあまり良くなかった。診断の根拠は4〜5割が病歴とするものから、病歴はほとんど診断の根拠としていないものまで個人差が大きかった。論理的な診断、パターン診断、ゴミ箱診断と分けて診断のパターンを自己採点してみたが、ほぼ半数はパターン診断出来ると考えるものから、ほとんど論理的な診断をしているとするもの、半分はゴミ箱診断だと考えているものまでこれも個人差が大きかった。診断の確実度では全体で約2割は確実で、1%は診断不能としていた。診断の確実度は診断手技数と相関しないようであった。実施検査抗生剤投与の割合は全体で13%、研究者間で2〜22%と開きがあった。
     今回の7人の共同研究では診療の平均的な像を描くことは困難であったが、各研究者の診療パターンが窺われた。

    ○「予防接種時の疼痛軽減のために -第2報 接種手技の検討-」       冨本 和彦
     【背景】予防接種の疼痛要因には接種前状況、ワクチン種、性別(女児)が関与するが、接種手技の改善による疼痛軽減効果は明らかにされていない。
    【対象と方法】子宮頚がんワクチン(サーバリックス)接種目的で訪れた93例について、接種手技は初回接種をランダム割付けした通常法または指圧・伸展法 (10秒間の拇指による指圧の後、皮膚を伸展させて垂直に穿刺し、急速に薬液を注入する)のいずれかで行い、穿刺時、注入時の疼痛をVisual analogue Scale(VAS)および 6段階Face pain scale(FPS)で評価した。2回目接種は初回と異なる接種手技で施行した。また、2回接種終了時に3回目接種手技を選択させ、FPSと合わせてsecondary outcomeとして評価した。統計学的検討は一標本Wilcoxin検定を用いた。
    【結果】VAS評価で指圧・伸展法は穿刺時疼痛、注入時疼痛とも有意に低値であった (穿刺時19.7±20.0 vs 26.1±23.3mm, p<0.01 ,注入時33.2±22.5 vs 39.4±24.7mm, p<0.01) 。また、FPS評価でも指圧・伸展法は穿刺時、注入時ともに有意に低値であり、3回目接種は68%が指圧・伸展法を選択した。
    【議論】験者・被験者のブラインドがなされておらず、被験者に特殊な接種手技によるプラセボ効果が出る恐れはある。
     また、一律に指圧・伸展法で疼痛低減が得られたわけではなく、指圧・伸展で穿刺時疼痛が逆に増強した例は26%、注入時の疼痛増強例は31%に認めた。指圧・伸展法の際に偶然疼痛知覚過敏な部位に接種されてしまった可能性があるが、穿刺深度については、穿刺前に全例で皮下脂肪厚、筋層厚を超音波計測することで骨膜穿刺を回避し、確実に筋肉内に注射されており、この点でのばらつきはない。いずれにしてもランダム化されたintrasubject comparisonであり、指圧・伸展法の疼痛低減の結果を疑わせるものではない。

    連絡先
    〒833-0027
    福岡県筑後市水田991-2杉村こどもクリニック
    杉村 徹
    FAX: 0942-52-6777 , E-mail:sugimura@kurume.ktarn.or.jp
ページの上部へ▲

関連ページ
調査研究方法検討会のページへ
リサーチ委員会トップページへ
会合開催予定日一覧へ
委員会トップページへ
< 前のページへ戻る