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調査研究方法検討会 かわら版

■ 第54回調査研究方法検討会かわら版 ■

 去る2012年,12月8日(土),9日(日):熊本森都心プラザ,プラザホール・会議室(熊本)にて,第54回調査研究方法検討会が開催されました.場所の設定・準備,ガイドライン検討会等について島田康氏,池澤滋氏のお世話になりました.検討会の報告要旨は,各演者の方へお願いしております.ご発表いただいた研究の概要とともに検討会で議論された内容も含めご報告いたします.

 8日(土)
「三豊・観音寺地区における学童検診のデータ処理について」 尾崎貴視
三豊・観音寺地区における学童検診は、今年度より小学校4年生を対象として新たに発足しました。特に、今年度は旧制度からの移行期になるため、小学校5年生も対象となっている。最近、その1次データを入手する事が出来ました。この度は、まず、そのデータの統計処理についてご相談しました。統計処理は、現在様々なソフトがあり、それらを使用すれば処理可能な事が多いのですが、一方で、その処理方法を間違えて行っても、何かしらのそれらしい結果が出てしまう恐れがあります。その様な危惧を、わたくしの失敗経験を例にご説明しました。また、行いたい処理について具体的にいくつか挙げて示しました。参加した方々より、様々なご意見を頂きましたが、たくさんの具体的検討課題の中で、もっと絞り込んで検討をするべきであるとのご意見を頂きました。また、統計処理については、委員の先生より処理について困った時には相談に乗ってくださるとのお話しを頂きました。委員の先生により統計ソフトに関して、市川先生の作成されたソフトが非常に使いやすい事を、実際にわたくしの持っているデータを使って示して下さいました。次に、もう一つの懸案として、倫理委員会に申請すべき事の線引きについてお尋ねしましたが、何かしら介入を行う事例に関しては倫理委員会の了承が必要であろうとのお話しでした。
 
「乳児の眼脂に対する母乳点眼の試み.- preliminary study - の報告と今後の比較試験について」 杉村 徹
母乳には免疫グロブリン(特にIgA)やラクトフェリンなど感染防御をみとめる成分が多く含まれてる.乳児の眼脂に対する母乳の効果についての研究はほとんどない.
乳児の結膜炎に対する母乳点眼の有効性の研究について,第51回調査研究方法検討会で検討し,今回,preliminary studyの報告を行った.眼脂を主訴に来院した生後6ヶ月までの母乳栄養乳児22例に母乳点眼を試み,16例(72.7%)に改善がみられた.増悪や有害事象は認めなかった.今後,比較試験を行うための研究デザインについて検討を行った.眼脂スコア,点眼液量,眼脂培養について議論された.
 
「遷延性発熱を伴う気道感染症小児の原因ウイルス同定」 原三千丸
38℃以上の発熱が5日以上続く気道感染症疑いの小児を対象とする。インフルエンザ患児は対象に含めない。全例鼻咽腔吸引液を検体として、原因呼吸器ウイルスを培養とリアルタイムPCR法により検出する。また、気道症状のない小児の鼻咽腔吸引液検体も、無症候性小児の感染率を調べるために採取検査する。リアルタイムPCRによる検出ウイルスは、ヒトメタニューモウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス(1型〜3型)、エンテロウイルス、ライノウイルス、ヒトボカウイルスである。
以上の発表に対して、成績が出た後のデータ解析についての言及がされていないとの問題提起があった。
これらの成績解析法の記載を加えて、次回の調査研究方法検討会に再度提出することとなった。
 
「熱性けいれんの実態調査」 高屋和志
研究の背景:1996年に発表された熱性けいれん(Febrile seizure:Fs)の指導ガイドライン(福山ら)では、来院時にけいれん発作が止まっている症例について再発予防処置を行うべきかどうか、行うとすればどのような症例が適応となるのかについて明確な基準はない。鎮痙している症例にジアゼパムの投与を行った場合、有意に24時間以内の再発を予防できるとの報告は多いが、単純型のFs初回発作に再発予防は不要とする意見もあり、全例に予防処置を行っている施設もある。Fs経験児の実態及び対応について開業小児科を中心にアンケート調査を行い、日常診療の中でのFs児への対応や説明に役立てたいと考えた。目的:1. Fsについて就学前時点での実態、特に初回発作時の対応と再発予防の実施状況を知る。2. 一般小児科診療所におけるFsへの対応実態を知る。方法:1.MR(麻しん・風しん)U期接種時、予診票に「発熱を伴うけいれん発作あり」と記入された児の保護者にアンケートを依頼する。項目:初発年齢、初回発作時の対応、発作回数、再発予防、要注意因子の有無等.調査期間及び例数:1年間で200例以上.2.外来小児科学会会員向けにアンケートを行う。項目:Fs発作直後の対応、当日の再発予防処置の適応、次回発熱時の予防処置基準等.検討会での議論及び今後の方針:MRU期接種時のアンケート調査を行う場合、「最も知りたい項目に焦点を当てて掘り下げた質問を考えるべきである。」との意見があり、初回発作時の対応と再発の有無についての質問項目の変更を検討することとした。学会員向けのアンケートについては、具体的なケース等を考えて質問項目を検討することとした。近畿外来小児科学研究グループを中心にアンケート内容、実施方法を検討し、2013年4月の調査開始を目指したい。
 
「どんな臍ヘルニアが早く治るのかー圧迫療法の是非も含めてー」 鈴江純史
臍ヘルニアの圧迫治療は各施設で導入されている。一方、種々の理由で経過観察をする施設もあり、その治療方針はするかしないかに二分されているようである。保護者も統一されていない情報がもたらされるために、一部には混乱も認められている。臍ヘルニア症例のほとんどは、最初に開業小児科を受診する場合が多く、その実態と対応については小児科開業医の多施設において検討し、ある程度の指針のようなものが必要ではないかと思っている。そこで簡単なアンケートを、主として開業小児科28施設に行ったところ、圧迫療法を実施しているのが16施設、していないのが12施設であった。このように少規模の調査でも、圧迫療法の実施状況が二分されていたことから、全国における現時点での実態調査と多施設での治療効果の検討が必要ではないかと思われた。皆様から今後の方向性について種々の御意見をいただけたので、調査方法の検討を進めることとした。
 
「遷延性発熱を伴う気道感染症小児の原因ウイルス同定」 原三千丸
 【対象と方法】38℃以上の体温が5日以上続くウイルス性気道感染症疑い小児を対象とする。全例鼻咽腔吸引液を検体として、呼吸器ウイルスをウイルス培養とリアルタイムPCR法[ヒトメタニューモウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス(1型〜3型)、エンテロウイルス、ライノウイルス、インフルエンザC型ウイルス、ヒトボカウイルス]により検出する。さらに、全検体を用いて肺炎マイコプラズマの遺伝子をリアルタイムPCR法で検出する。ウイルスおよび肺炎マイコプラズマの検出は、広島県立総合技術研究所保健環境センターで行う。対象患児を下記の診断名で分類する。下気道感染症(すべて咳あり).a クループ。b 気管支炎: 局在性の湿性ラ音あり。c 喘息様気管支炎:瀰漫性の乾性あるいは湿性ラ音あり(細気管支炎と喘息の増悪)。d 肺炎:胸部X性写真で局在性の浸潤陰影あり。上気道感染症.e 咳を伴う上気道感染症:下気道感染症の定義に当てはまらない。f 滲出性扁桃炎:扁桃に滲出物あるが、咳はない。g 咽頭炎:咽頭あるいは扁桃に発赤あるも、扁桃滲出物なし。咳はない。h フォーカス不明の発熱。発熱以外の症状や所見なし。ライノウイルス(RV)とエンテロウイルス(EV)は,不顕性感染が多いことが分かっている。両ウイルスがリアルタイムPCRで検出されても、検査時の真の感染かどうかの判定には慎重を要する。急性期のRVまたはEVが単独で検出された患児群と呼吸器症状がないにもかかわらずリアルタイムPCRが陽性であった小児群のウイルスコピー数をプロットし,ROCカーブを作成して、カットオフ値を決め、カットオフ値以上のコピー数を有する検体の患者を真の感染症とする。【データ解析】@全対象患児中のウイルス陽性小児とウイルス陰性小児の割合を算定する。Aそれぞれのウイルス陽性者数を算出し、6種類のウイルス(hMPV、RSV、AdV、PIV、EV、RV)感染症患者数の頻度を、χ二乗検定を用いて比較する。B上記6種類のウイルス患児のの他のウイルスとの混合感染率を算出し、χ二乗検定で有意差検体を行う。C6種類のウイルス感染症の患児の平均年齢を比較する(クラスカル・ワーリス検定)。Dすべてのウイルス陽性患児の季節性発生分布を調べる。Eこれらの6種類のウイルスの単独感染症患児の診断名別分布を調べ、有意差検定を行う(χ二乗検定)。平均年齢も比較する(クラスカル・ワーリス検定)。さらに、各々のウイルス感染症での診断名の割合を算出し比較する(χ二乗検定)。以前の解析例を下記に示す。次に、それぞれのウイルス感染症間で、下気道感染症(a〜d)の割合や咳嗽を有する感染症(f〜h)の割合を比較する(χ二乗検定)。【同意】鼻咽腔吸引液を採取して、診断のための迅速診断試験を行い、その結果はすぐに判明する旨を話す。これらの患児と迅速診断の適応外の患児の保護者には、残りの検体を使用して種々のウイルスの検出を行い、後日、別の機会に必ず知らせることを説明し、口頭にて同意を得る。同意を得たことをカルテに記載する。【倫理的配慮】鼻咽腔吸引液検体を用いての上記ウイルス検出キットによる迅速診断試験は、保険収載されている標準的検査法である。迅速診断試験を受ける小児に対して、さらに研究検査用のためだけに検体採取する患児に対しても、丁寧で注意深い採取に心がけることで、予見し得る危険性はほとんどないと思われる。
 上記発表に対して以下のような質問や指摘があった。
  • ライノウイルスとエンテロウイルスの無症状小児の対照コントロールは必要か?この2種類のウイルスをPCR法で検出するときには、コントロールが必要であると話した。
  • コントロール小児の検体採取も、研究期間内にすべきとの指摘あり。
    演者も同意した。
  • 同意は口頭では不可であること。患者とコントロール小児の保護者用に2種類の同意文書を作成してサインしてもらうべきであることを指摘された。
    演者も同意文書を2種類作成することとした。
 
「アデノウイルス感染症の迅速診断,- 咽頭拭い液と鼻咽腔吸引液の比較 -」 原三千丸
 【対象】発熱を主訴に受診し、アデノウイルス(AdV)気道感染症を疑われた小児を対象とする。咳を伴わない、滲出性扁桃炎や咽頭炎、さらに咽頭結膜熱で、特に強く本症を疑う。【方法】咽頭拭い液と鼻咽腔吸引液を同時に採取して、AdV迅速診断キットであるイムノエースアデノによる検査を行う。両検体でのキットの陽性、陰性を判定し、感度を比較する。陽性であった検体で、鼻咽腔吸引液と咽頭拭い液での呈色反応の程度の強弱を比較する。残りの鼻咽腔吸引液検体を用いて、ウイルス分離培養とAdV遺伝子検出のためのリアルタイムPCRを行う。分離培養では、AdVの型まで判定できる。リアルタイムPCRでは、高感度でアデノウイルスを検出し、型の区別はできないがウイルス量(コピー数)が定量できる。培養はプレート法にて、FL、BGM、LLC-MK2、HEp-2、RD-18S、Vero、MDCK細胞株を用いる。すべての鼻咽腔吸引液検体を用いて、リアルタイムPCR法によるヒトメタニューモウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス(1型〜3型)、エンテロウイルス、ライノウイルス、ヒトボカウイルス、インフルエンザC型ウイルス検出を併せ行う。本研究では、AdV感染症患児の臨床診断名は下記のごとくとする。下気道感染症(すべて咳あり).a クループ。b 気管支炎: 局在性の湿性ラ音あり。c 喘息様気管支炎:瀰漫性の乾性あるいは湿性ラ音あり(細気管支炎と喘息の増悪)。d 肺炎:胸部X性写真で局在性の浸潤陰影あり。上気道感染症.e 咳を伴う上気道感染症:下気道感染症の定義に当てはまらない。f 滲出性扁桃炎:扁桃に滲出物あるが、咳はない。g 咽頭炎:咽頭あるいは扁桃に発赤あるも、扁桃滲出物なし。咳はない。h フォーカス不明の発熱。発熱以外の症状や所見なし。i 咽頭結膜熱。【データ解析】@AdVのリアルタイムPCR陽性検体をゴールデンスタンダードとして、両検体のキットの感度を比較する(χ二乗検定)。さらに、両検体での呈色反応の強弱を比較する(χ二乗検定)。PCR陰性検体での両検体のキットでの特異性を比較する(χ二乗検定)。AAdV感染症のイムノエースアデノによる感度を、型(1~6型)、診断名、発症からの検査タイミング、年齢、性を指標として比較する。B鼻咽腔吸引液でのAdV検出に関して、リアルタイムPCR陽性検体を基準とした培養法の感度を算定する。CAdVのリアルタイムPCR陽性検体を、鼻咽腔吸引液でのキット陽性と陰性の2群に分けて、それぞれの群の平均コピー数を比較する(ステユ−デントt検定)。【研究期間】本委員会の承認が得られた後に開始し、3年間とする。【同意】咽頭拭い液と鼻咽腔吸引液を同時に採取して、診断のための迅速診断試験を行い、その結果はすぐに判明すること。一般には、どちらか1種類の検体で検査を行うのだが、両方の検体で検査して、どちらの検体がアデノウイルス検出の感度が良いか知りたいための研究検査である。鼻咽腔吸引液の残りの検体を使用してアデノウイルスの検出を行う。保護者に説明し、口頭で同意を得る。また、この研究に参加しないことで不利になることは全くないことも明言する。【倫理的配慮】アデノウイルス迅速診断試験であるイムノエースアデノでは、咽頭拭い液、あるいは鼻汁検体(鼻咽腔吸引液と鼻腔拭い液)のどちらか一方を用いての検査が、標準的検査法(保険適応あり)である。研究検査用に2種類の検体を集めるために、丁寧で注意深い採取操作に心がけることで、予見し得る危険性はほとんどないと思われる。
  • 迅速診断キットイムノエースは販売会社からの無償提供かという質問があった。1人2テスト使用するが、1テスト分は保険請求する。残りと1テストは、演者のクリニックが購入する。販売元からの供与は受けない。
  • アデノウイルス以外のウイルスをリアルタイムPCRで検出することは、不要であるのではと質問された。演者も、アデノウイルス検出キットの研究であるので、不要であると考え、これらのリアルタイムPCRによる検出は行わないことにした(下線部分)。
  • 患児の保護者の文書による同意が必須得であるとの指摘があった。同意文書を作成して、保護者にサインしてもらうこととした。


 9日(日)
「難治性マイコプラズマ感染症の治療戦略」 武井智昭
 【方法】2012年8月から2013年3月まで、下記条件を満たす症例を難治性マイコプラズマ感染症として、抗菌薬(MINO・TSFX)の効果を解熱期間・咳嗽改善期間にて比較した。1:臨床症状(発熱・気道症状を認め、明らかな呼吸障害がない症例)。2:イムノカード「マイコプラズマ抗体キット」陽性。3:前投薬としてマクロライド系薬剤の投与が2日以上(AZM、CAM)【検討事項】マクロライド系薬剤の長期投与においても、平均4-4.5日で解熱効果があること、また8歳未満においてMINO投与が倫理的問題に抵触することが指摘された。また、イムノカードのキット診断の手法に信憑性が低いことが指摘された。8歳以上では、マクロライド系薬剤・MINO・TSFXにおけるrandomized studyが、8歳未満ではTSFX・マクロライド薬剤投与における比較を推奨された。
 
「乳幼児RS細気管支炎における高張食塩水の有効性と安全性の研究方法の検討 −パイロットスタディ−」 宮田章子
 研究の背景と目的:乳幼児のwheezy bronchitisには根本治療がないため 外来レベルで少しでも症状の改善や入院を減らせる方法はないか? P;2歳未満の迅速検査でRS陽性とした細気管支炎の乳幼児に、I;高張食塩水きゅうにゅうをおこなうことは、C;生食吸入と比較して、*共通介入は β刺激剤の吸入、O;呼吸の状態を改善させれられるか?
 *secondary outocome 入院率を下げられるか? 過去の研究では Cochrane Library 2011, Chest 20o2;122:2015-20がある。いずれも有効で、介入後コントロールと比較して数日間で臨床スコアは有意に低くなっていた。方法:病児保育室に入室してくるRS細気管支炎児計5例に 来院順に交互に介入とコントロールを割付け 午前、午睡後に吸入を行い 吸入前と後の臨床スコアを比較した。結果:症例が少ないため 効果は評価できなかった検討と議論内容:今後この研究を広げるためには  吸引量を客観的にどう評価するか?
 ⇒吸引量を測定する外来で行うにはどのような方法がいいか? ⇒自宅での吸入でなく 朝夕来院して吸入する外来での評価をする方がよい。有害事象の可能性をもう少し検討する。などを議論した。
 
「小児科外来を受診した軽症気道感染症の経過に影響する因子について」 西村龍夫
 本研究は,第53回調査研究方法検討会で調査方法の検討を行い,2012年9月〜10月に大阪小児科医会員を対象に多施設共同調査を行ったものである.今回の検討会で調査結果を示した.発熱の経過に関与する因子はなかった.咳嗽は両親の喫煙と鎮咳薬投与が遷延因子であった.鼻汁は兄弟がいることと,抗菌薬投与が遷延因子であった.検討会では鎮咳薬の投与が遷延因子になる原因として,症例バイアスが大きいことを指摘された.また,咳嗽についてより詳細な調査が必要になること,今後の研究方向についての示唆を頂いた.
 
「小児科外来を受診する軽症の喘鳴患者の経過に影響する因子について」 西村龍夫
 軽症上気道炎の調査に続き,外来で経過観察が可能な軽症の喘鳴児の調査を提案した.検討会ではあらかじめ作成したプロトコールを示し,問題点の検討を行った.対象症例をより明確にし,喘鳴児を医師の診断によるものに限定すること,あらかじめ他施設からの投薬があった場合の扱い,ステロイドの吸入をスタディ因子に入れること,提案した経過観察の時間が48〜60時間と短く,1週間後の転帰を記載すべきなどの意見があった.また,調査内容は外来小児科として適当であり,今後は子どもネットなどを通じて学会員から調査協力施設を募り,多施設共同研究を進めてはどうかとの提案が得られた.
 
「水痘ワクチンの有効率 -どのように調べるか-」 中村 豊
 最近、小児科学会は水痘ワクチンを3ヶ月の間隔で2回接種することを勧めている。これはワクチン接種を受けたにもかかわらず罹患する(breakthrough varicella)危険性を少しでも減らすためとされている。ワクチンの有効率は80%前後とされているが、実感としてはもっと低い。しかしながら日本国内での研究は小規模のものが多く、また数も少ない。2回接種を進めて行く上で、日本国内の実態を知りたいと考え、まず当院での水痘診療の実態を検討した。2007年1月から2011年12月までで、当院で水痘と診断した患者は813名で、1歳台にピークを持ち、発症月は日本国内での疫学データに類似していた。予防接種歴がなかったものが56.9%、予防接種歴が確認できたものが24.5%であった。接種歴のあるものでの罹患のピークは5歳であり、予防接種から水痘罹患までの期間は19-24ヶ月が最も多く、多くが2年以内に罹患していた。感染経路は集団内でのものが1歳台以上で最多であった。欧米での水痘ワクチンの有効性研究は、retrospective cohort studyが最も多いが、他にもprospective cohort 研究やcase control研究が行われている。2回接種を進めていくためにも、日本での有効率を評価することは重要と考える。まず、基礎データの収集の目的から、U期MR接種に来院した患者での水痘ワクチン接種歴と罹患暦調査をすることを検討することとした。また、水痘発症者の家族で2次罹患率を調査し、ワクチン接種者と未接種者の間で感染性に差が生じるかどうかの検討を試みることになった。
 
「保育園児の手洗い習慣と病欠日数に関する研究:中間解析」 牟田広実
 2012年4月1日より研究を開始している調査について、現時点での解析結果の報告および以下の問題点について討議した。6つの保育所の通園児324名に研究参加依頼を行い、うち255名(参加率 79%)より同意を得られた。現在のところ、手洗いの頻度と感染症による欠席日数に有意な差はみられていない。その原因としては、感染源は主に家庭外であることや、手洗いの手技的な問題が指摘された。また、当初のリサーチクエスチョンの他に、欠席日数の大小とその他の背景因子の関連がないかを多変量解析して調査することを助言いただいた。


連絡先:〒833-0027 福岡県筑後市水田991-2杉村こどもクリニック 杉村 徹
FAX: 0942-52-6777 , E-mail: sugimura@kurume.ktarn.or.jp
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