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調査研究方法検討会 かわら版

■ 第55回調査研究方法検討会かわら版 ■

  去る2013年,3月30日(土),31日(日):メルパルク京都(京都)にて,第55回調査研究方法検討会が開催されました.場所の設定・準備について幸道直樹氏のお世話になりました.今回は,近畿外来小児科学研究会との共催として三品浩基先生による特別講演も開催されました.検討会の報告要旨は,各演者の方へお願いしております.ご発表いただいた研究の概要とともに検討会で議論された内容も含めご報告いたします.
 

 30日(土)
「小児用ワクチンの安全性の検討:prospective study」 田原卓浩
 ワクチン(DPT-IPV,PCV13を含む)の単独接種/同時接種の安全性を検討する方法について議論した。2010年から2012年にかけて実施した調査結果を踏まえて、接種後2週間、被接種者の親・保護者に調査票への記入を依頼する方法による「早期観察研究」として実施することになった。調査への協力依頼に際して、先行した調査結果を親・保護者に提示する必要があるとのご意見を頂いた。計画書の修正をおこない、今秋からの調査開始に向けて準備をすすめる予定である。
 
「小児科外来を受診した軽症の喘鳴児の経過に影響する因子について」 西村龍夫
 小児科外来で経験する軽症の喘鳴児に対して,どのような治療を行うべきか,またどのようなリスクがあるのかを調査するために,多施設共同の研究を提案した.各施設が自由に診療し,最終的な経過を調査することにより多変量解析で経過に影響する因子を抽出する観察研究とした.検討会では喘鳴児の施設間差や,医師の処方内容が患者の重症度に影響されること,アウトカムを明確にすること,解析時の注意点などのアドバイスがあった.また薬剤の影響については介入研究を行うべきであるという意見もあった.調査方法の見直しを行い,次回の検討会でも報告する予定である.
 
「発熱している小児の体温と血清Naの関係:発熱している子どもに水分を多めに与えることは本当に必要か?」 草刈 章,西村龍夫
 発熱のある気道感染症児で,血清Naがどのように動いているのかを調査するために,くさかり小児科で全身状態の把握のために血液検査を施行した症例を後方視的に調査した.データシートを作成し,血清Naを目的変数とし,年齢,性別,受診までの最高体温、発熱日数,当日体温、白血球数,好中球数,CRP値を説明変数とした重回帰分析を行った.主に倫理的な問題点がないかについて検討会に意見を求めたが,後方視的に調べた観察研究であれば問題はなく,インフォームドコンセントも不要であり,学会発表や学会誌への投稿も可能ということであった.
 
「水痘罹患率の調査:予防接種の有効性をしらべる」 中村 豊
 前回の調査研究方法検討会では、クリニックでの水痘罹患状況を報告し、水痘ワクチンの有効性を検討する方法について議論を行った。今回はこの議論を踏まえ、水痘の家族内感染からワクチンの有効性を検討するパイロットスタディを行った。ゆたかこどもクリニック(神戸市)と こうどう小児科(宇治市)で2013年1月から3月半ばまでの2ヵ月半の間、水痘患児が出た場合、その兄弟が水痘ワクチンの接種の有無によって罹患率に差が出るかを評価し、ワクチンの有効性とした。水痘ワクチンを接種していた兄弟12人中水痘発症は5人、接種していないもの11人中発症は9人で有効率は49%であった。また発端者がワクチンをしていた場合兄弟の発症は11人中3人であったのに対し、未接種者の兄弟の発症は12人中11人で接種をしていた児が水痘を発症しても他者に感染させる可能性が低いことが示唆された。今後他施設にも研究に参加していただき対象者数を増やして仮説の証明を行いたい。
 
特別講演「臨床研究に必要な倫理的配慮」 三品浩基先生
(1.京都大学大学院医学研究科社会健康医学系医療疫学 2.国立成育医療研究センター総合診療部)
 臨床研究における倫理的配慮は、研究に携わる医療者が必ず身につけるべき研究スキルの一つです。倫理的に逸脱した臨床研究は、対象者の健康に危害を及ぼすだけでなく、臨床研究の社会的信用を損なう可能性があります。人体実験スキャンダルとなった過去の幾多の事例が、ニュルンベルグ綱領、ヘルシンキ宣言、ベルモントレポートなど、主要な研究倫理規約を発展させる動機となりました。
 現在の臨床研究は、事前に対象者の保護について計画し、プロトコール(研究計画書)にその内容を記述することが求められます。とくに、インフォームドコンセント、個人情報の保護、利益相反の管理には綿密な配慮(本邦の医学研究に関する倫理指針を参照)が必要です。そして、倫理審査委員会などの第三者によるプロトコール・レビューを通して、倫理的配慮の適切性を検討します。これらは介入研究、観察研究などの研究種別を問わず、研究実施前に遵守すべきプロセスです。
 さらに、倫理的課題は対象者の保護にとどまらず、研究者によるデータの捏造、改ざんなどの不正行為、論文公表時のオーサーシップにも及びます。論文の著者は、研究内容に公的責任を負うという認識を持たなければなりません。大学や研究機関では、研究者の倫理研修が義務化されつつあります。倫理規範は時間の経過とともに変化し続けるものであり、その時代にあった倫理規範を遵守する姿勢が必要です。


 31日(日)
「臍ヘルニア圧迫療法の実態調査」 長田伸夫,鈴江純史
 臍ヘルニアは、1歳までに8割が2歳までに9割が自然治癒するとされている。そのため経過観察することが多い。一方ヘルニアは治ったものの、いわゆる臍突出症となり、手術を余儀なくされるものもある。臍ヘルニア圧迫療法を行うと早期に治癒し手術を回避できるとの報告が小児外科より報告されている。しかしながら、一般小児科医における臍ヘルニア圧迫療法についての報告は少ない。今回我々は、臍ヘルニア治療の実態調査を企画した。今後アンケート内容を吟味し調査を行う方針である。
 
「MRI期の接種時に同時接種をすすめると、どのくらいその他のワクチン接種率が向上するか?」 牟田広実
 市町村の予防接種台帳のデータを使用し、実際の接種行動を観察する研究について討議した。対象はMRI期の接種者。まず、MRI期接種時点で、その他に接種が推奨されるワクチンの有無を抽出し、実際にどのくらいの割合および間隔でそれらが接種されているかを調べることで、仮にMRI期接種時に同時接種されていればどのくらい接種率が向上したかがわかるというものである。予防接種台帳のデータを使用するため、個人情報保護の観点から生年月日、性別などの情報取得に関する懸念や、そのために行政の協力がどのくらい得られるか分からない点があげられた。今後、行政への説明文書を作成し、当学会予防接種委員会名で調査協力自治体の募集を行いたい。
 
「泣いている時に、小児の心拍数はどのくらい上がるか?」 牟田広実
 ワクチン接種前の啼泣していない時点と、接種後に啼泣している時点で、どのくらい心拍数が変化するかについて、パルスオキシメーターを用いて測定する研究について討議した。本研究は全身状態把握のために行うバイタルサイン測定に対する啼泣の影響を調べることが目的であるが、そのためにパルスオキシメーターとは言え、介入を行うことが倫理的に適切かという意見があった。また、ワクチン接種という侵襲時ではなく、健診中に偶然泣いた時に調査する方法や、パルスオキシメーターを使用せずに聴診による心拍数測定はどうかという意見を頂いた。これらのご意見を元に、診療の範囲を逸脱しない形で、診療中の偶然な啼泣やワクチン接種前後に、パルスオキシメーターを使用せずに、聴診または触診による脈拍数の測定を記録してみることとした。
 
「2012-13シーズンのインフルエンザから:@受付におけるインフルエンザのトリアージを考える,A早期診断方法を考える-患者さんに一番優しい採取方法・タイミングは?-」 天野出月,村上綾子
@受付におけるインフルエンザのトリアージを考える
 小児外来の受付における隔離トリアージは院内での感染防止の観点から重要である。短時間で効率的なインフルエンザトリアージを行うために何が必要であるかを検討した。受付において評価した「表情(3段階評価)」「周囲の流行状況(3段階評価)」および来院時体温(5段階評価)を説明変数、インフルエンザ迅速診断の結果を目的変数としてロジスティック解析を行った。その結果いずれも関連性を認め、これらに注目することにより良好なトリアージを行えることがわかった。【検討内容】「ワクチン接種の有無」「来院時までの最高体温」との関連性の可能性の有無をご指摘いただいた。またインフルエンザトリアージに対しては、その必要性も含めて各医療機関でのスタンスが異なり多角的なディスカッションを行うことができた。
A早期診断方法を考える 〜患者さんに一番優しい採取方法・タイミングは?〜
 インフルエンザ迅速検査の検体採取に関しては種々あるが、鼻汁鼻かみ液は最も患者負担の少ない検体であることが知られている。しかしその検出率は他と比して劣る可能性が指摘されている。今回は発症から検査までの時間毎に鼻汁鼻かみ液・鼻腔ぬぐい液のいずれかを行いその検出率を比較検討した。その結果、鼻汁鼻かみ液はいずれの時間でも検出率としては他と比して劣るものの8割前後であることがわかった。患者負担の面からは鼻かみ液の使用は好ましいが、医療者からは陰性であった場合に2重検査によるコストの問題があると考えられる。
 
「鉄欠乏性貧血の母子治療の効果を考える」 天野出月,村上綾子
 【研究の背景】鉄欠乏性貧血を外来で発見することは困難であることからスクリーニングの重要性が指摘されている一方で、本邦では一部を除き適切なスクリーニング・指導が行われていない。また、これまでの報告では栄養方法などのリスク因子であることが明らかにされているが、児のみを対象としており母体に関心が向けられることがなかった。我々は母子双方の観点から乳幼児鉄欠乏性貧血について調査を行うこととした。【方法】当院で行っている乳幼児健診(6ヶ月,9ヶ月)に来院された母子を対象に2点でHb測定を行い、同時に栄養方法・妊娠経過・成長経過の聞き取りを行う。これらをもとに「授乳期の母体貧血の割合」「母子Hbの相関性」「母体貧血改善による児Hbへの影響」を分析する。また貧血を認めた母子に対しては、Hbの値に応じて追加検査・治療を開始しその経過をフォローする。【検討内容】今回は母児54名のパイロットスタディのデータを供覧していただき、ご意見をいただいた。調査項目に関しては「離乳食の開始時期・回数の確認」、治療に際しては各月齢毎のエビデンスに基づいた治療の確認をご指摘いただいた。今回の供覧データでは母子Hbに相関性はみられなかったが、栄養形態毎での再解析をご指示いただいた。


連絡先:〒833-0027 福岡県筑後市水田991-2杉村こどもクリニック 杉村 徹
FAX: 0942-52-6777 , E-mail: sugimura@kurume.ktarn.or.jp
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