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調査研究方法検討会 かわら版

■ 第58回調査研究方法検討かわら版■

 去る2014年,3月22日(土),23日(日):新大阪丸ビル別館 5-7号室(大阪)にて,第58回調査研究方法検討会が開催されました.場所の設定・準備について西村龍夫氏のお世話になりました.今回,三品浩基先生(1.京都大学大学院医療疫学・研究員、2.国立成育医療研究センター総合診療部・臨床研究員)による「サンプルサイズの考え方」と題したレクチャーが開催されました.検討会の報告要旨は,各演者の方へお願いしております.ご発表いただいた研究の概要とともに検討会で議論された内容も含めご報告いたします.
 

 22日(土)
「発達障害診療に対する外来小児科学会会員の意識調査」 中村 豊
 第24回外来小児科学会年次集会で発達障害のセミナーを開催するに当たり、Web上での会員アンケートを企画した。会員医師の発達障害診療への取り組みの程度を聞き、診療上の問題点を明らかにし、その解決方法を探るための一助とするものである。質問項目として、発達障害診療への取り組みの程度、取り組みをしていない場合はその理由を聞く。診療を行っている場合はその内容、コメディカルとの協働、保険請求、連携の問題を聞くものである。回答者のプロフィルを最後に入れて、おおむね10分程度で回答が終了できるようにした。検討会参加の先生から質問項目のアイデアや、字句の修正のご意見を頂いた。これらの意見を取り入れ5月中旬に実際のアンケートを行う予定である。
 
「日本国内におけるRSウイルスの分子疫学と臨床像の検討」 齋藤玲子,日比野亮信
 【概要】2012/13、2013/14の2シーズンに渡り、全国15都府県の小児RSウイルス感染症について、ウイルスの型と遺伝子型を調査した。また、これらの症例についての臨床像についても臨床データを採取し、ウイルス型や遺伝子型について比較し臨床像が異なるのかどうかを検討した。2012/13シーズンは、全国的にA型が主流であったのに対し(A140例、B24例)、2013/14シーズンは地域によって主流であったウイルス型が異なるという特徴があった(A110例、B124例)。入院率の比較については、NA1のうち72塩基挿入があるON1というグループでは33.3%、通常のNA1株では7.5%という結果を得たが、統計的な差は無かった。
 【討論内容】検体を採取する時期や件数などについて、これまで曖昧であったため、明確な基準を設けるべきとの意見がでた。調査に関わる医院に対し、採取検体数と採取期間についての基準を提示することを次回調査へ向けての課題とする。
 
「2012/13シーズンにおけるインフルエンザA(H3N2)に対するNA阻害剤による治療後のウイルス残存及び家族感染についての検討」 日比野亮信,齋藤玲子,他
 【概要】68例のインフルエンザA/H3N2罹患児に対して、4種類あるNA阻害薬の解熱効果やウイルス排泄について経時的に比較した。また、小児から家族への二次感染の発生状況から、感染が成立するウイルス排泄量の基準を検討した。家族内感染については、初発患者の年令と家族の構成人数別にデータを集計し比較検討することで、ウイルス排泄量以外で感染が成立する要因について考察をした。
 【討論内容】インフルエンザの感染が成立するウイルス排泄量について、定めた基準についての根拠が曖昧であったため、明確な根拠を考察する必要がある。また、薬剤ごとでの症例数が少ない、年齢の影響が出やすいなどのことが考えられるため、サンプルサイズを大きくする必要があり、今後の研究課題とする。
 
「外来小児科学会員を対象にした感冒診療のアンケート調査」 西村龍夫
 第24回日本外来小児科学会年次集会の春季カンファレンスに先立って,学会員の感冒診療の実際についてのアンケート調査を行った.インターネット上のウェブアンケート機能を用い,会員にサイトアドレスをメールで送付し回答してもらった.アンケート結果はエクセルファイルで回収され,統計ソフト上で解析を行った.回答数は169件,回答率は17.9%であった.診察で胸部の聴診,咽頭所見の観察は全員に行うという回答が100%であったが,鼓膜所見を全例観察すると答えたのは32%であった.鼓膜所見を取ることが,抗菌薬や鎮咳薬投与の処方行動と有意に逆相関していた.検討会では調査バイアスについてと,回収率を上げる方法,今回の結果からどのような結論とするのかについて有用な意見を頂いた.今後は論文化していく予定である.
 
「RSウイルス感染症の短期予後に影響する因子について」 西村龍夫
 プライマリ・ケアを受診したRSウイルス感染症の乳幼児の経過,リスク因子,治療効果について調査を行うために本研究を企画した.研究内容は生後6か月から3歳未満のRSウイルス感染症患者を調査対象とし,1週間の経過観察を行い,その間の経過と予後についての観察研究を行うというものであった.検討会では本研究の目的とその意義,実際の調査方法,必要とされるサンプルサイズ等に対して具体的な意見を頂いた.中でも研究のエンドポイントをどこに置くかが,研究を進めるに当たりもっとも重要なポイントになると思われる.研究内容をより詳細に検討し,より具体的な調査が可能になるようにプロトコールを再検討することになった.次回の検討会で再度ご意見を伺う予定である.


 23日(日)
「一次医療機関における肺炎マイコプラズマ感染症の抗菌剤に対する臨床的効果」 下村国寿
 はじめに:近年、小児科診療においてマクロライド高度耐性・肺炎マイコプラズマの増加が問題になっており、一部では耐性率は90%に達しているとの報告もある。しかし、多くは基幹医療機関からの報告であり、一次医療機関における実態は異なると考えられる。また、マイコプラズマ感染症においては、細菌学的耐性と臨床的耐性は必ずしも同義ではない。そのため、一次医療機関におけるマクロライド系抗菌剤の臨床的効果を検討した。
 対象:2013年9月から2014年3月までの間に当院を受診し、マイコプラズマ感染が疑われた127例中、LAMP法にてマイコプラズマ感染症と診断された41例を対象にした。抗菌剤はLAMP法の検体採取時に処方した。CRP<3mg/dlではクラリスロマイシン(CAM)を、CRP≧3mg/dlではトスフロキサシン(TFLX)を第一選択薬として、その臨床的効果を検討した。
 結果:年齢は3歳6月〜11歳4月(平均7歳9月)であった。CAMを37例に処方した。この中、すでに解熱していた7例を除く31例中24例(77%)は24時間以内、3例(10%)は48時間以内に解熱した。残りの4例(13%)は48時間以上熱が続き、2例はミノマイシンで、2例はステロイドで解熱した。TFLXを5例に処方した。1例は24時間以内に解熱した。3例は48時間以内には解熱しなかったが、1例は72時間以内に自然に解熱し、2例はセフェム系抗生剤およびステロイドを使用して解熱した。1例は初診後連絡が取れなかった。
 考察:昨年からはマイコプラズマ感染症の流行は見られていないが、LAMP法の保険適応により正確な診断ができるようになったことで一次医療機関においては決して少なくないことが解った。LAMP法は検体採取から診断までに2日間程度を要するが、一次医療機関においてはCAM等を処方し2日後に診断が明確になれば、臨床的には大きな問題はないと思われた。マクロライド耐性に関しての抗菌剤の選択について、臨床的には87%はCAMで解熱しており、一次医療機関における第一選択薬としてCAMで治療することは可能と思われた。
 議論:コントロールが置かれていないので、CAMが有効という表現はできない。
   その他、サーベイランスの報告定点の訂正等、数点の訂正が行われた。
 
「福岡地区における肺炎マイコプラズマのマクロライド耐性に関する 臨床的検討.- 肺炎マイコプラズマ抗原迅速診断キットとLAMP法、 PCR法,培養法との比較 -」 山口 覚
 【演題の概要】本研究は福岡地区における肺炎マイコプラズマ(以下マイコプラズマ)のマクロライド耐性に関する臨床的検討、ならびにマイコプラズマ抗原迅速診断キットとの有用性についての検討を目的とする。共同研究10施設を受診したマイコプラズマ感染症が疑われる小児を対象とする。3本のスワブで咽頭ぬぐい液を採取して迅速診断キット、LAMP法、PCR法および培養法で検査を行う。マイコプラズマ感染症と診断した症例に関してはマクロライド感性菌と耐性菌での抗菌薬の効果について比較検討を行う。
 【検討会での議論】1)対象は1歳以上とする。2)迅速診断キットの選択は各施設で2種類のキットを交互に使用することによりランダム化する。3)抗菌薬の投与量についてはクラリスロマイシン15mg/日、ミノサイクリン4mg/日で統一する。4)登録票にはイニシャル、生年月日についても記載しない。(匿名化)5)8歳以上については本人の同意が必要となる。(説明書、同意書の作成)
 
「小児期慢性便秘の治療 -酸化マグネシウムとラクチュロースの効果比較-」 冨本和彦
 本邦で便秘の維持療法に用いられる浸透圧下剤は酸化マグネシウムとラクチュロースであるが、現在まで本邦でのRCTはない。両者についてopen-labeled crossover studyにてその効果を比較検討する。
 方法:対象はRome III criteriaによって便秘と診断された15歳未満の児。便秘のメカニズムの説明、生活指導を行った上で、2週間のコントロール期間を置き、この間の排便状況を記録する。投薬介入は酸化マグネシウムあるいはラクチュロースで行い、まずグリセリン浣腸(2ml/kg)を3日間行って便塊を除去したのちに3週間投薬し、排便状況を記録する。これを1クールとして一方の種の薬剤で1クール行った後に2週間の無投薬期間を設け、引き続いて他方の種の薬剤で2クール目を行う。この介入順についてはコンピュータでランダムに割り付けした。酸化マグネシウムは0.05g/kg/day、ラクチュロースは1.0g/kg/dayを散剤として経口投与する。
 結果:現在、脱落3例を除く23例が調査進行中である。中間報告として、Primary outcomeとしての介入2週目の排便回数は酸化マグネシウム群、ラクチュロース群ともにコントロール群と有意差はなく、三元配置分散分析による両者の比較でも有意差は認めなかった。しかし、secondary outcomeとしての介入2週目の便性状スコアでは酸化マグネシウム群はコントロール群と比較して有意に改善し、また、ラクチュロース群との効果比較でもp=0.046と有意な改善効果を認めた。直腸径は酸化マグネシウム投与後有意に減少した。
 討議:Crossover studyであり、関連2群として各パラメーターの絶対値より変化率とした方がより有意差が出やすいかもしれない。Washout phaseとcontrol phaseは同一のものとはとらえられず、この部分の評価が難しくなる。介入研究のために倫理委員会への申請が必要であり、研究計画書の提出をする。
 
「小児期直腸径基準値の検討」 冨本和彦
 小児期の便秘では、児が排便をがまんする→巨大な硬便が形成→出血や疼痛を伴う排便→排便への不安・恐怖→さらに排便をがまんすることで悪循環が形成され、巨大結腸をきたす。この病態に従えば、便秘の治療は貯留便を排出(disimpaction)し、直腸が空虚な状態を維持することが重要になる。しかし、一方で腸管通過速度からみると便秘のメカニズムには腸管通過が遅く、巨大結腸を認めないSlow transit constipationも存在する。この場合には前述の治療方法がそぐわないことがわかる。つまり、巨大結腸の有無が治療上の重要なカギとなる。過去の報告では巨大結腸の診断は一定のものが示されておらず、腹部超音波を用いて本邦正常小児の直腸径基準値を検討した。
 予防接種目的で当院を受診した250例をRome III criteria項目や便性状、過去の便秘治療歴等でのあるものを除外し、190例を対象とした。
 直腸径は年齢、最終排便時間の影響を強く受けており、2レベル枝分かれ分散分析で層別化基準を評価すると年齢は0.482、最終排便時間は0.357といずれも層別化が必要であった。3才以前・以後、排便3時間以内・以後で基準値を策定することとしたが、排便後3時間未満例は3才未満26例、3才以上16例と少なく、排便3時間以上群(3才未満74例、3才以上75例)について直腸径データをBox Coxべき乗変換し、正規性を確保した上で、95%信頼区間で評価したところ、直腸径基準値は、3才未満、排便後3時間以上では31.8mm以上、3才以上、排便後3時間以上では40.0mm以上であった。
 討議:サンプルサイズは大きくなればなるほど95%信頼区間が狭くなってくるが、3才以上群ではまだ幅がありすぎ、サンプルを増やすか、外れ値の統計的処理が必要になる。
 正常排便児を対象とするために除外基準を厳しくしたが、一般患児が訪れる外来で用いるには基準を厳しくしないデータも必要では?→除外基準によって2群のデータで評価する。
 
「乳幼児の発熱と肺炎球菌感染症について」 鈴木英太郎
 0歳、1歳、2歳児で細菌感染を推定される疾患がある。高熱、白血球増多、核左方移動、CRP高値の条件の上、肺炎球菌迅速キット陽性児について中耳炎の有無に関わりなく、肺炎球菌が病因と考えられる症候群があるのではと仮定する。
 討論では肺炎球菌は上咽頭に常在性がある細菌なので、立証することは難しいだろうという意見が大多数であった。
 
特別講演 臨床研究デザイン(4)「サンプルサイズの考え方」
三品浩基先生
(1.京都大学医学研究科社会健康医学系大学院医療疫学,2.国立成育医療研究センター総合診療部)
 今回は臨床研究のサンプルサイズを推定するプロセスを紹介させていただきました。大まかな理論の説明と、実際の計算作業を適切に行うための技術に焦点を当てました。
 サンプルサイズ推定の作業を以下の5つのステップに分類しました。@研究仮説と帰無仮説の構築、A統計学的検定方法を選択、B差の大きさ(effect size)の設定、Cランダムエラーを設定(α=0.05、β=0.20)、Dテキストやウェブサイトの計算ツールに上記@からCで設定した数値を入力。ツールに数値を入力すれば簡単にサンプルサイズが計算できますが、検定する仮説をしっかり認識しておく必要があります。また、入力する数値はできる限り既存の文献を調べた上で設定することが大切です。
 サンプルサイズの推定は研究計画の初期の段階で試みていただきたいと思います。その意義は、研究の実施可能性を判断しやすくなることと、多くの関連文献を収集する機会を生むことです。サンプルサイズを推定するプロセスは、研究の質を大きく向上させる可能性を持っています。


連絡先:〒833-0027 福岡県筑後市水田991-2杉村こどもクリニック 杉村 徹
FAX: 0942-52-6777 , メールはこちらへ 
2014.05.14
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