リサーチ委員会〜旧調査研究方法検討委員会〜 委員会トップへ
ホーム委員会リサーチ委員会調査研究方法検討会調査研究方法検討会かわら版調査研究方法検討会かわら版第64回調査研究方法検討かわら版

委員会の概要

リサーチ委員会開催案内
(委員のみ)

所属検討会および
「子どもネット」
調査研究方法検討会
ワクチン研究検討会
子どもネット
事故予防検討会

リサーチアイデアバンク
リサーチなんでも相談

調査研究方法検討会
かわら版

質的研究方法検討会


調査研究方法検討会かわら版

■第66回調査研究方法検討かわら版■

去る2016年,10月28日(土),29日(日)ウインクあいち(名古屋)にて,第66回調査研究方法検討会が開催されました.場所の設定や準備についてP尾智子氏のお世話になりました.検討会の報告要旨は,各演者の方へお願いしております.ご発表いただいた研究の概要とともに検討会で議論された内容も含めご報告いたします.

29日(土)

○「小児が発端者である インフルエンザの家族内感染調査」

幸道直樹

2015/2016シーズンのインフルエンザ流行初期に多施設共同研究で行った “小児が発端者であるインフルエンザの家族内感染調査”の結果を報告した。332家族、1142人の同居者が検討された。家族内感染を有した家族は122家族、発症しなかった家族は210家族であった。家族群間において家族人数、ワクチン接種の有無などに差は認めなかった。発端者が6歳以下の場合において有意に発症家族が多かった。同居家族においては年齢、性、インフルエンザ罹患歴、ワクチン歴、集団生活の有無と共にうがいなどの予防や隔離の程度について検討した。多変量解析の結果、有意だったのは予防の励行と隔離であり、オッズ比はそれぞれ0.709と0.633であった。さらに同居者が集団生活をしている場合及び発端者が7歳以上である場合も家族内感染を低下させる要因であった。昨年度の罹患歴、今年度のワクチン接種は発症抑制因子ではなかった。
本調査は有効と思われるので引き続き複数年調査する予定である。

○「百日咳流行の実態に関する検討」

沼口俊介

保険収載が予定されている百日咳LAMP法が導入されるにあたり、現在問題となっているDPTもしくはDPT-IPVワクチンでの百日咳抗体減衰に伴う百日咳流行の実態に関し多施設共同研究という形で調査が実施出来るか否かを検討。
調査方法としてはケースコントロールデザインで調査対象となる遷延性咳嗽の患者さんの鑑別診断のひとつに百日咳LAMP法を導入して臨床診断と検査結果の一致率を年齢別に比較することになるが、最大の問題は財政難である中、保険医療での研究の形は難しく研究機関での費用内で調査協力という形で企画するか、学会の研究費利用に向け具体的な研究デザインを詳細に検討して再び調査方法検討委員会に図る。

○「乳幼児慢性便秘に対するLactobacillus rhamnosus GGの効果」

藤森 誠

乳幼児慢性便秘に対し、Lactobacillus rhamnosus GG(以下LGG)を用いた盲検的無作為比較試験。RomeVを便秘の診断基準とし、無作為化でLGG投与群、プラセボ群に割付け、4週間で排便回数の改善を主要評価項目とする。適応年齢、サンプルサイズ、既存の治療をどうするか、研究に組み入れる時期、母乳・人工乳を層別解析を行うかどうか、食品の扱いかどうか、などについて協議を行った。

○「乳児期からの食物アレルゲン少量持続投与の効果」

西村龍夫

当院では生後3ヵ月から食物アレルゲン少量持続投与を行っている.今回,投与後1年以上経過した84例について,現在のアレルギーの状況を調査した.調査月齢は25.18 ±5.35ヵ月であった.結果,不安感からそばや生卵を食べさせていないという保護者が6名いたが,卵,小麦,牛乳等を除去する必要のある児はいなかった.検討会では今後に調査研究が可能かと倫理的配慮について伺った.粉ミルクに含まれる細菌への配慮が必要等のアドバイスを頂いた.

○特別講演「母乳育児に関する最近のトピックス」

P尾智子先生

日本では母乳育児が母親のライフスタイルの問題と捉えられがちであるが、世界的には公衆衛生上の重要な課題として位置づけられている。2015年9月に国連が採択した「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」は、貧困を終わらせ、地球を守り、すべての繁栄を保証するための17の目標から成る枠組みである。
http://www.unic.or.jp/news_press/info/21380/
WHOとUNICEFは、母乳育児とSDGsを関連づけ、「母乳育児は単に子どもの健康の基礎となるだけでなく、国の発展のための土台である」というメッセージを出している。
Lancetは2016年1月30日号で母乳育児を特集し、Breastfeeding in 21st century: epidemiology, mechanisms, and lifelong effect および Why invest, and what it will take to improve breastfeeding practices? という2つの総説を掲載して、「母乳育児が成功するかどうかは1人の女性の責任ではなく、母乳育児を推進するのは社会全体の責任である」と述べている。

 前者の総説には:  
     
  • 母乳で育った期間が長い子どもほど、感染症の罹患率・死亡率が低くなり、不整咬合が少なくなり、知能が高くなる。この差は成人になっても継続し、肥満や糖尿病を予防する。
  •  
  • 母親の乳がんを減らし、出産間隔を空けることによって母体を保護する。糖尿病と卵巣がんを減少させる。
  •  
  • 生後1ヵ月までの赤ちゃんの95%が母乳だけ、生後6ヵ月まで90%が母乳だけ、そして、生後6-23ヵ月の子どもの90%が部分的にでも母乳で育てられたとすると、世界中で毎年82万3000人の乳幼児死亡を予防でき、2万人の乳がんによる死亡を予防できると試算される。
  •  
  • 最新の生物学的研究から、母乳は乳児にとってpersonalised medicineであることがわかってきた。
  •  
  • 富める国でも貧しい国でも同じように母乳育児の推進は重要である。そしてそれがSustainable Development Goals の達成につながる。
  •  
 後者の総説には:  
     
  • 各国の母乳育児率はさまざまな介入により徐々に上昇して来ているが、母乳で育てたい女性が充分な支援を受けられる環境が整っていない。
  •  
  • 母乳で育てることができるかどうかは女性個人の責任ではなく、社会全体に母乳育児を支援する責任がある。
  •  
  • 人工乳企業は巨大で成長中であり、人工乳のマーケティングは母乳育児の推進に対する妨げとなっている。
  •  
  • 母乳育児が適切に実践されないことによる健康や経済に対する損失はまだまだ認識されていない。富める国でも貧しい国でも、母乳育児支援に投資することと、そうしない場合の損失を計算してみる必要がある。
  •  
  • 母乳育児を保護、推進、支援することは、子ども、女性、社会にとって利益となる。政治的支援、経済的投資が必要である。
  •  
と述べられている。
 また、エピジェネティクスやマイクロビオームに母乳が影響すること、母乳に幹細胞が含まれていることなども最新のトピックスであり、基礎的な科学の面からも母乳育児が注目されている。
 最近、厚生労働省による平成27年度乳幼児栄養調査結果の概要が発表された。妊娠中の女性は93.4%が母乳で育てたいと思い、産後1ヵ月で母乳・混合栄養の合計は96.5%、産後3ヵ月で母乳・混合栄養の合計が89.8%となっている。つまり日本では母乳育児を行っている母親が大多数である。母乳育児の健康に対する効果は、その子どもの生涯の総母乳摂取量に関連し、母親の健康に対する効果も母乳育児期間に関連する。母と子が望む限り母乳育児を継続できるように、社会全体が支援していかなければならない。母乳育児支援は、母親に母乳育児を「押し付ける」ものではなく、母乳で育てたい大半の母親が実際にできるように社会が支援していくものであり、「現在母乳育児を行っている母と子が今後も継続できるように支援する」のが小児科医としての大きな使命であるといえよう。

30日(日)

○「咳止めの効果を調べる」

西村龍夫

前回の検討会に続いて調査研究を提示した.対象症例を上気道炎に限定し,咳の期間も1週間以内とし,ランダム化のために乱数票を作った.検討会では,薬の投与量を厳密に規定することと,咳の強さについてより細かく,10段階の数字で表すことを提案された.また経過調査は投与翌日と2日目に行うこととした.プロトコールを修正し,倫理委員会の審査を経て,共同調査に関わっていただける施設を募集し,調査研究を実施していく予定である.

○「ワクチン非接種(忌避)の研究」

久山 登

ワクチンを接種しない保護者の理由を知る目的。対象として、定期ワクチン、HPV、自費ワクチンが討議された。HPVについては、研究が進展しているとの指摘があった。自費ワクチン(おたふくかぜ、ロタ)は、自治体の助成により接種率が改善するので適切との意見が多数あり、先行調査の提示があった。この先行調査を踏まえて検討するとの結論になった。B型肝炎(定期化前後)も有力との意見もあった。

○「学校健診における成長障害相談システムは必要か?」

伊藤純子

学校健診において、成長曲線を描いて問題のある児を把握するようにという指導がはじめられた。低身長児の大部分は体質性であるため、成長曲線スクリーニングを有効なものとするためには、精査の必要性を適切に判断できる医師と精査を行う専門医の診療体制構築が不可欠であるが、その体制づくりは全く進んでいない。

本研究の目的は、学校健診における成長障害スクリーニングの現状について、日本外来小児科学会医師会員に対してアンケート調査を行い、サポートシステムが必要か否かの基礎資料とすることである。アンケート項目とアンケートの集計方法について検討を行った。

○「手のひら・足の裏・口へのマッサージにより過敏さを軽減することが、ダウン症児の運動発達に影響するか」

宮井文美,中村 豊

当クリニックでは赤ちゃん体操を実施してきた。赤ちゃん体操を行っていく中で、手のひら足の裏に触られたりするのが苦手で床につくと引っ込めてしまうダウン症児に、ずりばいやハイハイの獲得が遅れる、または飛ばしてしまうことが多いのに気づいた。そのような児は、舌が出ていることも多い。そこで、手のひら・足の裏・口への接触過敏を軽減することが運動発達に好影響を与えるのではないかと考え、検証を試みたいと考えた。クリニックにて、ダウン症の赤ちゃん体操を受けている児を対象とし、研究参加の同意を得た後に3か所(手・足・口)へのマッサージを指導する。マッサージを特別に指導していないダウン症児との比較を発達到達度評価表を用いて行う。歩行完成までのフォローアップ期間中に、運動の進み具合と、問題姿勢(いざりバイ、膝伸展位での座位、反張膝など)の有無をチェックする。実施に当たっては倫理委員会の承認を得たい。

連絡先:〒833-0027福岡県筑後市水田991-2杉村こどもクリニック杉村徹
FAX: 0942-52-6777, E-mail: sugimura@kurume.ktarn.or.jp
2016.12.27
ページの上部へ▲

関連ページ
調査研究方法検討会のページへ
リサーチ委員会トップページへ
会合開催予定日一覧へ
委員会トップページへ
<前のページへ戻る