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■第67回調査研究方法検討かわら版■

去る2017年,3月4日(土),5日(日)ステーションコンファレンス東京にて,第67回調査研究方法検討会が開催されました.場所の設定や準備については加地はるみ氏のお世話になりました.検討会の報告要旨は,各演者の方へお願いしております.ご発表いただいた研究の概要とともに検討会で議論された内容も含めご報告いたします.

4日(土)

○「外来診療において、グラム染色像を供覧しながら治療法や養生法を説明する試みが、保護者の抗菌薬や感染症に対する理解や行動に与える変化」

前田雅子,斉藤 匡

当院では、2005年より、急性中耳炎など、細菌感染症が疑われる患者さんから採取した検体のグラム染色像をその場で保護者に供覧し、抗菌薬治療の必要性の有無、推定される起炎菌と適切な抗菌薬を説明する試みを実施している。5年間で抗菌薬の処方量は5分の1に減少したが、この結果は単に医療者側の意識の高まりによるものだけではなく、保護者にも抗菌薬に対する考えや服薬行動の変化があったからではないかと推測された。そこで、この試みが、保護者の抗菌薬や感染症治療に対する理解や行動にどのような変化を与えたのか、そのプロセスとともに明らかにすることを目的に研究を計画した。当院で複数回以上の説明を受けた保護者(20名程度)を対象とし、個別または集団インタビューでデータを収集する。分析は修正グランテッドセオリーアプローチ等の質的研究の手法で行う。検討会では主に、1)供覧時にどのように説明しているのかを明らかにする必要性、2)対象が、複数回の説明により「誘導されたグループ」であるため、偏ったデータとなることへの懸念、3)はじめて説明を受けた保護者へのアンケート調査の追加、などの指摘と提案を受けた。

これらの点について再検討し、次回の検討会に臨む予定である。

○「出生コホート研究による小児アレルギー疾患に関する考察」

澁谷紀子

NTT東日本関東病院において行なっている出生コホート研究の概略をご紹介した。Part 1では、乳児期早期の湿疹が、乳児期の感作やアトピー性疾患と強く相関していたこと、また、4歳時の気管支喘息は、感染に伴うものが主体だが、純粋な非アトピー型喘鳴とは異なるフェノタイプと考えられたことを報告した。Part 2では、妊娠中から出生後早期までの母親の食事が、児の感作に影響している可能性が示唆されたこと、Part 3では、胎内感作が出生後の感作と相関しないという中間解析結果が得られたことを報告した。

○「2シーズンにおけるRSウイルスの分子疫学と臨床経過解析」

齋藤玲子,田邊郁望,日比野亮信

全国12地域の小児医療機関と協力し、RSウイルスの分子疫学調査を行った。2016年7月から2017年2月までに349症例の鼻腔拭い検体が収集され、そのうち迅速診断キット陽性が236例(67.6%)、陰性が108例(30.9%)、結果不明5例(1.4%)であった。当教室で型別PCRを行ったところA型が40例(11.5%)、B型が75例(21.5%)、陰性160例(45.8%)、型別不明及び検査中は74例(21.2%)と判定された。迅速キットの特異度が70%程度と低い結果になったため、現在原因を検証中である。地域には主に西日本と北海道でB型が優勢であり、東日本ではA型とB型の混合流行が見られた。G遺伝子第2高度可変部を樹形図解析したところ、A型の遺伝子型はON1型、B型はBA9型であった。BA9型で、変異が大きく新しい遺伝子型として定義できる可能性のあるウイルスが見つかった。

2015-2016年シーズンに調査を行ったRSウイルス感染症患者、A型53例、B型56例について臨床症状やウイルス排泄の経過を比較した。A型とB型のウイルス排泄期間を推定したところ、それぞれ6.6±3.4日と6.1±3.3日で差が無かった。発熱、咳嗽、鼻汁といった主要症状の持続日数にもA型とB型では差が無かった。今後、2016-2017年のデータもあわせ解析を進める予定である。

○「ムンプスワクチンの安全性に関する調査」

牟田広実

ムンプスワクチンの定期接種化にむけて、安全性調査を計画している。安全性についての最大の懸念は無菌性髄膜炎であるが、その頻度は数千〜数万分の1と少ないため、調査例数を多くする必要がある。そのため、「すべての入院」を代理のアウトカムとし、ムンプスワクチン接種者の接種後1〜28日間をリスク期間、29〜56日をコントロール期間とする、self-controlled risk-interval designによる調査を提案した。議論の中で、初回接種、2回目接種ともに調査すること、後方視的な調査を検討してみること、他のワクチンについても調査することを提案いただいた。また、予定入院は除外すること、同時接種の場合の解析方法についての検討が必要と考えられた。

○「おたふくかぜワクチンの諸問題の検討 - 2回接種はいつが適当か -」

中村 豊

おたふくかぜとそのワクチンに関して、現在残っている疑問点、問題点について考察した。①おたふくかぜはワクチン接種後にり患しても軽症であるか?②出席停止は5日間で十分か.③ムンプス、非ムンプスの鑑別にベストな方法は何か.④2回接種はいつがベストか?

それぞれの問題点に対して、現在わかっていることを列挙した。結果、いくつかの研究がなされているが、数が少なく、行われた研究も不十分と思われた。④の問題を検討する目的で、自院でのムンプス流行期のり患患者のワクチン接種歴を調査した。2010年に比べて、2016年の時には、患者年齢が高くなっていた。またワクチン接種済み者のり患数も多くなっていた。接種済み者のムンプス罹患は5−7歳にピークがあった。将来定期化された時に、2回目をいつするのがベストであるのかを決めるためには、接種後罹患の時期、原因がprimary vaccine failure なのかsecondaryなのか。を検討する必要があろう。

○ 特別講演「交絡因子の考え方と調整方法」

東京大学大学院医学研究科ヘルスサービスリサーチ講座 道端伸明先生

臨床家が研究をするのは、真実を知りたいからである。しかし、正しく普遍的な因果関係を示すことは非常に難しい。 どんな研究にも選択バイアス、情報バイアス、交絡というバイアスが伴う。バイアスを減らすにはサンプリング、データ測定、解析の各段階で対策法がある。このバイアス対策を研究実施前に十分に計画しておくことで重要である。 今回は、交絡因子の調整方法について学んだ。調整方法には、サンプリング段階では、限定・マッチングという方法があり、データ測定・解析の段階では、層化、統計学的モデル、傾向スコア(Propensity score)という手法がある。 傾向スコアの使い方には、1. マッチング、2. 重み付け、3. 共分散分析、4. 層別解析という方法があり、広く利用されている。しかし、傾向スコアには、測定されていない交絡因子(Unmeasured confounding factors)は調整できないという問題点があることを学んだ。 傾向スコア以外の疑似実験法としては、操作変数法(Instrumental variable methods)、回帰分断(Regression discontinuity)、分割時系列デザイン(Interrupted time-series analysis)、差の差の検定(Difference-in-difference)があることを紹介した。

5日(日)

○「八戸地域における母乳栄養児のビタミンD欠乏調査」

冨本和彦

背景)近年、母乳栄養の割合は生後3か月児で54.7%に達した。一方、若年女性の日光忌避が一般化し、母乳中ビタミンDも僅少であることから、母乳栄養児のビタミンD不足が危惧されるようになった。方法)2016.1-12月の一年間に当院を受診した3-4ヶ月のほぼ完全母乳栄養児を対象に血中25OHD,Ca,P,ALP,PTHを検討した。結果)対象161例においては、内分泌学会コンセンサスの25OHD≦20ng/mlのビタミンD不足は149名(92.5%)、<12ng/mlの欠乏例は98名 (60.9%)であり、夏季と冬季で11.5ng/mlの変動があった。PTHが上昇しはじめる閾値は両者の相関図から25OHD値で8-12ng/mlと考えられた。また、手根骨評価を行った93名中16名(17%)にくる病変化を認めた。考察)「ビタミンD不足」は成人の基準ではPTHの上昇閾値をもって≦20ng/ml とされる。小児でも暫定的に成人同様の値としているが、今回のPTH上昇閾値は25OHD 8-12ng/mlであった。乳児期にはCaに対するPTHの反応性が不良であること、成長の因子と思春期での性ホルモンの影響があり、成人の「ビタミンD不足」基準をそのまま用いるのには疑問が残る。ビタミンD不足と将来の骨形成、成熟に関わる検討が必要である。一方、骨以外の免疫に関わる作用については一定のコンセンサスが得られており、北日本においては完全人工栄養児以外は25OHD値を測定することなく全例にビタミンDの補充をすべきである。くる病変化は17%のみであったが、母乳栄養で不十分ながらも一定のCaが供給されていることと、乳児期早期には腸管からのCa吸収がビタミンD 非依存性であること、低Caに対するPTHの反応が不良で骨吸収が比較的抑制されていることによると考えられた。

○「食物アレルギー診療のエビデンス」

拡大ガイドライン検討会 冨本和彦,伊藤純子

食物アレルギー予防の考え方は乳児期早期からの皮膚バリアの保全の意義と離乳食摂取時期の議論を中心に大きく変貌しつつある。今回対象とした論文Early Life Eczema, Food Introduction, and Risk of Food Allergy in Children.PEDIATRIC ALLERGY,IMMUNOLOGY,AND PULMONOLOGY 2010;23(3):175-182は離乳食摂取時期を遅らせたほうが食物アレルギーの発症が少なかったとするもので、会議ではその内容について検討した。

乳児期の湿疹の有無が離乳食品導入時期と食物アレルギー発症に関わるかどうかを検討した。960人の児を対象に横断的にアンケート調査を行い、乳児期湿疹の有無と離乳食導入時期を解析した。湿疹のある児では食物アレルギーになるリスクはOR:8.4(95%CI:8.4,5.9-12.1)であったが、湿疹がない群では、ミルク導入を遅らせた(OR:0.5,95%CI:0.3-0.9)あるいは固形食を1歳過ぎまで遅らせた(OR:0.5,95%CI: 0.3-0.95)群では食物アレルギーになるリスクが低かった。湿疹のない児については離乳食導入時期を遅らせることは食物アレルギーを予防するが、湿疹のある群では、離乳食導入時期を遅らせても食物アレルギー進展リスクは変わらなかった。

この論文については、湿疹、離乳食のエピソードを比較的記憶している3才未満の群でも結果は変わらないとするが0〜21歳の年齢の児に対する横断的研究であり、Recall biasが避けられないのではないかとする意見が多くを占めた。

○「外来での百日咳感染症の実態調査」

沼口俊介

百日咳感染症の実態調査案を2つ(罹患率、前向きコホート)提示して問題点を検討。
研究対象集団を1年間追跡することの困難さ、ならびに研究期間での地域における百日咳感染症を経験する可能性は、そう高くないことが予測される。

研究の目的を効率的に果たす方法として、発症者の把握を中心に周辺罹患者の実態把握し罹患者の年齢分布を明確にすることで、トリビックはじめ予防接種導入時期の貢献を目指すべく、地域での百日咳感染サーベイランス強化を図る方法で再検討する。

連絡先:〒833-0027福岡県筑後市水田991-2杉村こどもクリニック 杉村 徹
FAX: 0942-52-6777, E-mail: sugimura@kurume.ktarn.or.jp
2017.04.27
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