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■ 第60回調査研究方法検討かわら版■

 去る2014年,11月29日(土),30日(日):安保ホール(名古屋)にて,第60回調査研究方法検討会が開催されました.場所の設定・準備についてP尾智子氏のお世話になりました.今回,三品浩基先生(神戸常盤大学 保健科学部医療検査学科 公衆衛生学准教授)による特別講演「症例対照研究case-control studyについて」が開催されました.検討会の報告要旨は,各演者の方へお願いしております.ご発表いただいた研究の概要とともに検討会で議論された内容も含めご報告いたします.

 29日(土)
「ベテラン小児科医に対するオーラルヒストリー 〜日本の小児科医のアイデンティティーを探って〜」 岡本 茂
 【背景】各種のインタビューは営利・非営利ともに存在するが、一定の理念にもとづいたオーラル・ヒストリーは日本の小児科医の分野では存在しない。【目的】1.ベテランの小児科医にインタビューすることによって小児科のアイディティ(価値・文化)をさぐる。2.(可能なら)学会デジタルアーカイヴとしてベテランの小児科医オーラル・ヒストリーとして情報共有する。【対象】日本外来小児科学会学術会会長経験者・日本小児科学会にとって重要な人物【研究デザイン】探索的研究(現時点ではインタビューガイド案を作成するためのパイロット)【方法】対象者の同意をとってインタビューガイドに基づいてインタビューをおこなう。インタビューは1〜3名でおこなう。公開にあたっては対象者の同意を得る。【推測される結果・意義】1.ベテラン小児科医(日本外来小児科学会会長経験者)にインタビューすることによって現在の外来小児科学会及び外来小児科医の現状があきらかになる。2.小児科医オーラルヒストリーデータベースは小児科学会がもつ最も重要のデータベースのひとつとなりうる。【研究の流れ】第25回年次集会 ワークショップにて一定の理念・インタビューガイド案を作成・検討【討議内容】研究にあたっては研究デザイン等をきちんと提示すること。外来小児科学会記録委員会の資料が参考になることなどアドバイスをいただいた。ワークショップにて一定の理念・インタビューガイド案を作成・検討することには異論がなく、今後更なる検討を加えて再度調査研究方法検討会で議論していただくことになった。
 
「小学4年生への睡眠介入を検証する」 尾崎貴視
 三観における睡眠介入の検証につき、小児生活習慣病検診のシステムや試験実施計画書「小学生を対象とした早期就寝指導による生活習慣病の改善に関する研究」を提示したうえで同委員会にて検討頂きました。
 検討項目は以下の4点です。
 @ 同意の取得.研究とは全く縁のない、対象とも思っていない学童と家族に、この度の同意を得るための文として適当な表現など。
 A 評価項目.主要評価項目を肥満度に置くとして、血圧や血液指標など生活習慣病関連指標となる他の項目をいかに扱うべきか?
 B 就寝時刻の設定理由.肥満度の推定値=0をひとまず設定としましたが、特に問題はないか?
 C 臨床試験登録.どこに登録すべき?または不要?
 その結論として,@同意は必要.A1年間のフォローで明らかな差異のみられる因子は少ないので、まずは睡眠時間が長くなったかどうかの検討をしてみてはどうか。また、他の先行研究では2次目標としてどのようにしているのか?とのことでしたが、睡眠の生活習慣に及ぼす影響は強く、睡眠と肥満のみならず、睡眠と脂質異常や肝機能異常や血圧など、それぞれの項目につき各々を主題としたエビデンスが多数出ています。あえて、2次目標としているものにつき調べてみるのも一つの方法。 この度睡眠の確保による生活習慣病の改善を検討しようとのことだが、肥満にもっと強く関連する因子があるのではないか。むしろ、そのような因子について調べてみてはどうか?とのことでした。ただし、睡眠調査を行う過程で、予定された多くのデータが集積され、肥満度を目的変数として多変量解析を行ったとき、おのずと肥満度に最も影響を及ぼす因子は明らかになると思われます。B特に言及なし.Cこの研究自体はまだパイロットスタディの段階なので、登録に必要はなかろう、とのご意見でした。
 その他.実際のアンケートを作成して提示してほしかった。建前として学校が行うスタディに関し、外来小児科学会の倫理委員会がふさわしいかどうかは検討の余地あり、とのことでした。
 
「小児期発症の帯状疱疹について」 幸道直樹
 当院で経験した小児期発症(15才未満)の帯状疱疹(HZ)35例について発表した。
 1:35症例中男児16例、女児19例で 発症年齢は平均8才6ヶ月(34M〜173M)(n=35)。水痘罹患年齢は平均2才5ヶ月(1M〜64M)(n=22) 。水痘からHZまでの期間は平均5年5ヶ月(17M〜161M)(n=22)であった。
 2:発症年齢は4才と11才にピークを認める2峰性だった。
 3:1歳未満水痘発症例は6例で、そのHZ発症の平均年齢は5才10ヶ月 、1才以降の水痘発症例は16例で、そのHZ発症の平均年齢は8才9ヶ月 と有意差を認めた。
 4:水痘罹患年齢は全体平均2才4ヶ月(1M〜64M)で6才以上はいなかった
 5:ワクチン接種後の症例は3例で、全体の8.5%であった。
 今後の予定としては多施設共同研究を呼びかけて、特にワクチン接種後のHZについて症例を集めて検討する事などが討論された。
 
「保育園欠席サーベランスの有効利用」 沼口俊介
 欠席サーベランスは集団での感染症の早期探知ならびに対応に有効な手段である。感染症には治療がなく公衆衛生学的対応が必要な場合に、一律ではなく地域差を考慮した対応がより効率的になる。この目的で東京N区の20地区に分けられている60保育園を統計学的に標準化ならびに年齢調整を行い群比較を行った。
 地域差比較の中、カットオフ値を利用した評価の検討ならびに日々の感染症の動向も検討する方法について、月単位だけでなく週単位などのご意見も頂けた。
 
「小中学生における携帯電話使用調査-メールやラインでのトラブルの実態-」 杉村 徹
 近年,携帯電話(特にスマートホンタイプ)の普及が小中学生へも広がり,また,無料通信アプリ(ライン)の使用により友人間でのトラブルも多数発生し,社会問題化してきている.小中学生における携帯電話の利用状況や問題点を把握するための調査を行う計画について,パイロット調査の結果も含めて提示した.
 今回の検討会で,この調査結果を何に繋げるか,どのように生かしていけるか等の質問や,本調査に関する情報は,学校保健会や教育委員会などにあるのではとのご意見.また,この調査内容とは別に,携帯電話等の使用時間と心身症などの症状の関係など,小児科医として関わっていけるものも調査してみてはとの意見があった.また,小学生らに脳の発達と携帯電話やメディアの影響などについて教育的な話をすることで,こども達が自ら携帯電話やスマートホンの使用方法を考えるようになったとのご意見も頂いた.今回のご指摘,ご意見を参考に,調査の目的,方法,結果や情報の生かし方を熟慮し調査計画を検討する予定である.
 
特別講演「症例対照研究case-control studyについて」 神戸常盤大学 保健科学部医療検査学科 公衆衛生学准教授 三品浩基先生
 症例対照研究(case-control study)は観察研究デザインの一つです。1920年ごろから、疾病のリスク因子を評価する研究デザインとして発展してきました。とくに稀な疾患や事象を扱う場合に適した研究デザインであり、比較的低コストで実施可能です。しかしサンプリング方法の特徴からバイアスを生じやすいのが弱点です。サリドマイドと胎児奇形の関連を検証したレンツの研究を題材として、バイアスへの対処例などを紹介させていただきました。


 30日(日)
「薬剤師と医師の連携におけるリスクコミュニケーションと医療の質」 久山 登
 調剤薬局での調剤過誤と医師と薬剤師のコミュニケーションエラーは医療安全の重大な問題であるにもかかわらず未開拓分野である。研究デザインは介入研究が成果から観察的研究に勝る。課題はデザインとアウトカムの展望が乏しいこと、アウトカムの信頼性に関わるものとして交絡因子のベースライン特性の調整と予想されるホーソン効果およびアウトカム(インシデント、アクシデント、など)が報告で隠蔽される可能性などである。当初ケースコントロールなどの観察的研究から開始するのが現実的と考えられる。今回の検討会では1医療機関での介入研究の提案を得ることができた。
 
「毛細管採血からみた突発性発疹〜白血球減少から予測は可能か?」 井上佳也
 発熱初期に突発性発疹予測の確率を高めることは、臨床上重要と思われる(疾患鑑別/不機嫌予測/再診抑制)。発熱期の末梢血白血球数が予測に有用か後方視的に検討した。対象は発熱期に毛細管採血を行った突発性発疹症。末梢血白血球数,年齢別比較,Age-matched control(平熱群:鉄剤投与群、健診群、発熱群:川崎病、上部尿路感染症、アデノウイルス感染症)との比較等について検討等を行った。結果、当院で経験した突発性発疹症発熱期の末梢血白血球数は6020±2080/mm3(平均±標準偏差)。白血球数は、0歳時よりも1歳以降発症例に低い傾向があった。また、発熱一日の時点で、平熱群、発熱群より有意に低かった。過去の報告と比較して白血球数は低値であったが、採血法の違いに起因すると考えられた。限界はあるが、発熱初期に末梢血白血球数を知ることは、突発性発疹の予測に有用と思われた。研究検討会ではコントロールの設定についてのご意見や倫理面での留意点、白血球分画についての情報も必要、等のご意見を頂戴した。
 
「乳幼児の湿疹コントロール-看護スタッフの直接指導に意義はあるか-」 冨本和彦
 【背景】アレルギーマーチの起点として乳児期早期からの湿疹コントロールおよびスキンケアが重視されている。外来でスキンケアについて保護者に伝えるべき内容は初期のステロイド療法から保湿剤へ移行させるステップとFTUを意識した軟膏の塗布量の2点であるが、一般的な指導だけで治療イメージを正確に伝えることは困難である。【目的】看護スタッフが直接塗布指導を行う効果を検証する【対象と方法】対象は乳児湿疹あるいはアトピー性皮膚炎にて当院を受診した15歳以下の児である。方法は、Randomized control studyとし、外来受診時に介入群としてスキンケアの実際の動画を見せた上で看護スタッフによる直接塗布指導を行ったものと、対照群として実際の動画だけで塗布指導を行った群に分ける。まず、湿疹の治療前評価を行うが、日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎重症度分類(簡便法)に基づき0-20点のスコア評価を行う。なお、この際看護スタッフを塗布指導チームと評価チームに分け、評価チームは対象者の群についてブラインドとなるようにした。1週間はクラス4のステロイド剤を一日2回塗布し、中間評価を行う。2週目はクラス4のステロイド剤を一日1回午前中に、午後は保湿剤を一日1回塗布するプロトコールで2週目に最終評価を行った。サンプルサイズはsignificant level を0.05,  powerを 80% とし、独立 2 群としてデータ数比を1 : 1としたとき、対照群の治療前スコアが7.09 ± 2.80であったことから、50%differenceを平均値の差 score 1に置いたとき、必要症例数は各群124例と計算された。【結果】今回はプレリミナリースタディとして行った。対象は102例あり、プロトコール終了症例90例(直接塗布指導群43 例、対照群47 例)であり、脱落例は12例であった。両群とも1週目、2週目の皮疹スコアは有意に低下していたが、治療前から1週目の皮疹スコア変化量は対照群7.09±2.80に対し、直接塗布指導群6.72±2.68(p=0.530)、2週目の皮疹スコア変化量はそれぞれ6.91±3.19、6.40±3.17 (p=0.441)と低下はしているもののいずれも有意ではなかった。【議論】倫理面については両群とも充分な指導は行っており問題はなさそう。現時点で有意差に至っていないが、@動画を用いずにより一般的なパンフレットとの比較とするか。Aスコアの比較にとどまらず治療不成功例(治療して一定スコア以下にならないもの)をみる。Bコンプライアンスの評価を行う、例えば治療薬剤の実際の使用量で評価する。C脱落例の評価を行う。の意見が出された。今回は助言を参考に充分なサンプルサイズに達するまでスタディを継続し、評価項目を増やして検討を進めることとした。「満足度調査」は導入しない。
 
「診察の満足度は風邪の経過を変えられるか?」 西村龍夫
 医師の診察態度が風邪を早く治すことにつながるという成人のデータがあるが,小児でも同じ効果が見られないか調査を企画した.
 検討会では本研究の目的とその意義,実際の調査方法,使用するアンケート等に対して具体的な意見を頂いた.小児では真に風邪の経過を変えることより,保護者の見方が変わることで,症状の訴えが変化するものであることを明記すべきと指摘を受けた.その他,RSウイルスやインフルエンザなどの感染症は除外すること,調査期間をどのように設定するのか,同意書の記載についてのアドバイスがあった.次回の検討会で再度ご意見を伺い,具体的な調査に進む予定である.
 
「ワクチンデビューは2か月の誕生日から:1か月健診における接種勧奨の効果の検討」 門井伸暁
 2か月からのワクチンデビューを保護者に伝える機会は多数あるが、開業小児科医がおこなっている1か月健診で情報提供を受けた保護者と受けなかった保護者では、接種行動に差が出るのではないかと考えて調査を計画した。対象を1)当科で1か月健診を受けた院内児2)他院で1か月健診を受けた院外児に分類し、初回接種ワクチン内容、初回接種日齢、ヒブ・肺炎球菌ワクチン3回目接種完了日齢の3点を2群間で比較することとした。予備的研究では院内児の方が院外児よりも任意接種ワクチンであるB型肝炎ワクチンとロタウイルスワクチンを積極的に、しかもより早期に受けていることが示され、「2か月からのワクチンデビュー」を保護者が理解していることが推測された。
 検討会では、観察研究であること、インフォームドコンセントなど倫理的配慮はなされていること、アンケート調査で配慮すべき点があること、さらに解析方法に再考すべき点があることなどをご指摘いただいた。ご指摘いただいた点を再検討して研究をまとめていきたい。
 
「”熱性けいれん診療ガイドライン“の検討」 伊藤純子
 日本小児神経学会から外部評価依頼があった「熱性けいれん診療ガイドライン」について、実際の診療に適応するうえで問題はないか意見聴取を行った。
 


連絡先:〒833-0027 福岡県筑後市水田991-2杉村こどもクリニック 杉村 徹
FAX: 0942-52-6777 , メールはこちらへ 
2015.01.09
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