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■ 第64回調査研究方法検討かわら版■

去る2016年,3月12日(土),13日(日)品川カンファレンスセンター (東京)にて,第64回調査研究方法検討会が開催されました.場所の設定や準備について宮田章子氏,加地はるみ氏のお世話になりました.検討会の報告要旨は,各演者の方へお願いしております.ご発表いただいた研究の概要とともに検討会で議論された内容も含めご報告いたします.

12日(土)

○ 「2015-2016 年シーズンの本邦における RS ウイルスの分子疫学:進捗報告」

新潟大学大学院医歯学総合研究科国際保健学 日比野亮信・菖蒲川由郷・齋藤玲子

2015-16 年シーズンにおける RS ウイルスの分子疫学調査の進捗報告を行った。

【背景】RS ウイルスは乳幼児罹患の際の重症化が問題となるうえに、年々罹患者報告数が増加しているが、本邦における分子疫学的な知見は未だ少ない。

【目的】本邦で流行した RS ウイルスのサブグループや遺伝子型、地域流行特徴の調査を行う。迅速診断キットの検出限界を評価する。RS ウイルスの臨床型と型との関連をみるため、入院・重症化率を評価した。

【対象と方法】2015年 9 月から 2016 年 2 月までの期間に、急性呼吸器症状を呈する 6 歳未満の小児を対象とし、インフォームドコンセントにより、研究目的の十分な理解と参加同意を得られた場合のみを対象とした。調査地域は、北海道、青森県、新潟県、東京都、静岡県、三重県、滋賀県、熊本県、沖縄県の 9 都道府県で行った。各医療機関で、迅速診断キットにより RS ウイルスのスクリーニングを行い、毎週、キット陽性・陰性の症例の臨床検体を 1 例ずつ採取した。迅速診断キット陽性の場合、再診時にも検体を採取し、患者の基本データも記録した。新潟大学では、@ウイルス分離培養、ARS ウイルスのサブグループ解析、BRS ウイルス定量検査、C遺伝子型別検査(シークエンス解析)を行った。

【結果】2016 年 3 月 12 日までに採取された総検体数は 251 件で、そのうち、迅速診断キット陽性が 169 件、陰性が 79 件、検査を行わなかったものが 3 件であった。サブグループ解析の結果、北海道、青森県、東京都、三重県、熊本県では RS ウイルス A 型が、新潟県、静岡県、滋賀県では B 型が流行していることが分かった。沖縄県は1 回目の検体輸送が 3 月に行われたため、解析はこれから行う予定である。遺伝子型では A 型は ON1 型が主流で、 B 型は BA9 型が主流であった。迅速診断キットの検出限界を ROC 曲線により評価したところ、カットオフ値となるウイルス量は 10^2.7 copies/μl と予測された。入院は RS ウイル ス A 型の方が B 型よりも高い結果となった。

【議論・質問】本研究の進捗結果を踏まえて、小児科臨床医の先生方の視点から疑問点や更なる解析への期待についてのご意見をいただいた。今回の検討委員会でのコメントをヒントにより RS ウイルスの分子疫学研究に深みを持たせた解析・まとめを行っていく所存である。

○「混合栄養児が Full 母乳栄養になることは、牛乳アレルギーの発症要因となるか?」

松本 勉

日常診療において、混合栄養(またはミルク摂取歴のある母乳栄養)児が、full 母乳栄養となり、その後に乳(製品)を摂取する時に、即時型アレルギー反応を呈することが当院でここ 14 カ月に 7 例いました。この現象は、二重抗原曝露仮説における経口免疫寛容の破綻とあたると思われます。

もちろん、混合栄養から母乳栄養になることは、好ましいことですが、アレルギーの観点から、そのリスクまたは注意点について、顧みられないことも問題だと思います。

牛乳アレルギーは、小児期において鶏卵に次いで多い食物アレルギーです。鶏卵や小麦に比べて、自然または経口免疫療法において、耐性獲得しにくいことは、知られています。

混合栄養から Full 母乳栄養に移行後、または母乳栄養中で時々ミルクを飲む乳児が離乳期や保育園入園前に乳製品(またはミルク)摂取による即時型牛乳アレルギー発症について、調査研究されたものはあまり見られません。

このテーマは、@アレルギー疾患発症ハイリスク児の混合→母乳栄養における離乳期の乳製品摂取時の注意喚起、A混合栄養児の乳児アトピー性皮膚炎に対し不充分な外用治療により改善しない場合に、特異 IgE 抗体陽性を根拠に牛乳除去を行うことへの警鐘、Bハイリスク児の混合→母乳について経口免疫寛容を破綻させない栄養方法の研究、C母乳栄養におけるミルクアレルギーの予防研究、D完全母乳栄養でないと悪いという母親の自責に対する救済等に、繋がることから、科学的興味深さを感じています。

自験例だけでは、世の中に生かすことはできず、エビデンスとして耐えうる良い方法が分らなく悶々としていましたので、良い機会と考え、勇気を振り絞り検討会に申し込みをしました。

ディスカッションの中で、「月齢別の栄養方法のこれまでの調査は、サンプル数が少なく、結果がまちまちで信頼性が低い」、「牛乳アレルギーの発症リスクについての文献的検討」、「コホート研究は現実的でないので、多施設での例えば 1 歳での即時型牛乳アレルギー発症例における多変量解析による要因分析」などの、多くのアドバイスをいただきました。検討を進めていきたいと思っています。

○「カゼ診療のEBM:咳の治療に関する文献の質的検討」

ガイドライン検討会 中村 豊 加地はるみ 伊藤純子

63回に引き続き、カゼ診療の EBM にいての検討を行った。今回は、コクランレビューで取り上げられている咳に関する文献の質的検討をした。@Paul IM et al. Effect of dextromethorphan, diphenhydramine, and placebo on nocturnal cough and sleep quality for coughing children and their parents Pediatr 2004;114:e85 薬剤はプラセボ以上の有効性は認めなかったという結論。咳の評価方法や、1 晩のみの投与での検討という点に問題があるのではないかという意見が出た。APaul IM et al. Effect of honey, dextromethorphan, and no treatment on nocturnal cough and sleep quality for coughing children and their parents Arch Pediatr Adolesc Med 2007;161:1140 ハチミツが dextromethorphan よりも有効という結論。無治療群を設定したことが目新しいが、ブラインドにできないというデメリット。咳の評価法は@と同じ方法であった。利益相反の問題 も指摘された。

同様の研究を我々ができるかどうかの議論を行った。無治療群を設定することや、代替薬(ハチミツ)の使用に倫理的問題はないか、同意が得られるかなどの意見が出た。さらに、検討期間、評価方法についての議論が行われた。今回と同様の方法で文献の質的検討を、夏の学術集会ワークショップで行うこととなっている。

13日(日)

○地域における保育園欠席サーベランスの有効利用」

(インフルエンザ感染対策における登園許可書の有効性) 沼口俊介

先の検討委員会ならびに平成27年8月の外来小児科学会で練馬区60保育園を20区分した群の地域差について報告したが、定点観察を今後試みて地域差に恒常性があるか否か分析すると共に、これらの地域差に影響与えている要因のひとつの分析の試みにインフルエンザ流行時期でのインフルエンザ登園禁止期間の登園許可書の実態調査を行う意義があるか?についてご意見を頂いた。

感染予防という観点からすると許可書出す際に患児同伴が必須で有る場合は医療機関より感染拡大を助長している危険性がある。2009年AH1pdm09流行時に公衆衛生学的隔離を行った群と行わなかった群での罹患者数には大きな差が見られなかったという報告もあり、登園許可書の期間を順守した否かの調査は意味がない可能性もある。

地区によって登園許可書必要が異なる場合があるので均一の調査は可能か否か?(練馬区の場合は公立保育園は全例提出必要)

また、これらの調査は行政の協力なくては出来ないが個人情報保護に関する法令と条例の解釈の問題も存在し、練馬区の状況報告すると共に疫学調査の意義の啓発活動も並行して行う必要のあることについて多くの意見頂いた。

○「小児慢性便秘の治癒を目指して − 緩下剤からの離脱可能な条件を探る − 」

冨本和彦

プライマリーケアを訪れる慢性便秘の児の治療期間は約 2 年間と著しく長い。その中には腸管機能の問題のために長期間の治療を行っても治癒が期待できない腸管通過遅延型の便秘も含まれるが、この型は極めてまれである。大半を占める機能的便貯留型便秘の児では治癒が期待できる。治癒に関与する因子として便貯留型のメカニズムからは、巨大結腸の存在(便を貯留しやすく、便意を感じにくい)、便性のコントロール不良、排便がまんにつながりやすい便秘症状(排便時痛、出血、排便がまん)の存在、定期的な排便トレーニングが確立していないこと、罹病期間が長く著しく慢性化してしまっていることが挙げら れるが、どの因子を重点に日常のコントロールを行うかはわかっていない。今回当院経過観察中の123例において治癒できた31エピソードと薬物減量中に再発して治療を再開した 56 エピソードを比較し、治療の上で重視すべき因子を抽出する。

意見)
@多変量解析をおこなうには陽性アウトカムが少なく、不安定な解析となる。χ2 乗検定など単変量で解析して関連の強い2(〜3)変量で解析すべき
A発達障害のある児ではこだわりがあることで便秘をきたす児も多い。児の背景はどうか?発達障害例が 2 例、小頭症の児が 1 例含まれるが、今回の便秘児の大半は基礎的な神経筋疾患を持っておらず結果に大きな影響は与えないと考える。
B親に発達障害があるなど両親のトレーニングが必要なケースもある。

連絡先:〒833-0027 福岡県筑後市水田991-2杉村こどもクリニック 杉村 徹
FAX: 0942-52-6777 , E-mail: sugimura@kurume.ktarn.or.jp
2016.06.16
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