会長あいさつ
2025年 年頭のご挨拶
新しい年が、すべての子どもたち、そしてそのご家族にとって、また会員の皆様にとって明るい1年となることを祈念致します。
さて、当学会のメインイベントである第33回の年次集会は、昨年は岐阜県高山市で開催されました( https://www.knt.co.jp/ec/2024/33sagpj/ )。高山市はじめ近隣の自治体、医師会のご理解とご協力のもと、地域性を生かした学ぶことの多い年次集会となりました。特に2つの特別講演、飛騨市長、都竹淳也市長のご講演、神山忠さんのご講演「少子化対策とSDGs」は大変印象に残りました。大臣在任中の自見はなこ参議院議員にもご講演いただくことができました。
全体集会の会長挨拶で、改めて外来小児科学会の4つの目的、 1.子どものトータルケアの実現、2.臨床研究、3.医学教育、4.アドボカシーの実践をお示ししました。1つめの子どものトータルケアの実現については、当学会の大きな特徴であるメディカルスタッフの参画、メディカルスタッフとともに外来診療を創る姿勢が、こどものトータルケアを実現する上で大きな力を発揮します。多職種が参加する年次集会はその象徴とも言えます。一方で学会の運営上、メディカルスタッフの位置付けがはっきりしないままになっており、そこが問題であると指摘する向きもあります。そこで、自己学習プログラムの対象をメディカルスタッフに拡張するなど、メディカルスタッフ向けの会員サービスを充実させることで、メディカルスタッフが学会員として参加しやすい環境を整えていきたいと考えています。2つめは、「臨床研究(リサーチなくして学会なし)」です。学会設立時から、小児プライマリケアの学問化と研究発表の場の確保を、学会の目的として掲げてきました。会員の研究をサポートする3つの委員会、リサーチ委員会、倫理審査委員会、研究基金運営審査委員会、が設置をされており活発に活動しています。皆様ぜひともご活用ください。3つめは、医学教育です。医学教育についても学会設立時から教育検討委員会を中心に取り組みを行ってきました。大学にはない、「プライマリケア外来小児科学」の魅力を伝える「外来小児科学講義録集」は、医学部学生向けの講義資料を、教育検討委員会でまとめたものです。また、生涯学習委員会では自己学習プロジェクトとしてe-ラーニングシステムの構築を行なっています。今後、同じ流れでスタッフ教育にも幅広く取り組んで欲しいと考えています。そして4つめ、こどものアドボカシーは、私たちの重要な役割です。こどもアドボカシーについての新しい論点、「子どもの意見を尊重する、子どもの声を大切にする」、「子どもを社会の構成員として認め、当事者である子どもの意見を聞く」といったことに取り組む必要があると考えています。
日本外来小児科学会は、最も現場に近い学会としての特徴を活かし、日々の診療・活動での気づきを共有するために参加者、会員が自ら発信する学会を目指しています。本年もどうぞよろしくお願い致します。
2025年1月
一般社団法人日本外来小児科学会 会長
稲光 毅
会長就任のご挨拶
2023年9月8日、第32回年次集会前日に開催された理事会において会長に選任されました稲光毅です。
前任の吉永陽一郎会長の残任期間1年の任期ではありますが、その責任の重さを強く感じるとともに、身の引き締まる思いです。会員の皆様のご支援をいただきながら、学会の発展に精一杯努めてまいる所存です。どうぞよろしくお願いいたします。
日本外来小児科学会は、徳丸實、五十嵐正紘両氏の出会いから始まり1991年に発足しました。当初、学会を代表する会長はその年度の年次集会を主催する理事として1年ごとに交代していましたが、学会運営の継続性などを考え2002年から理事長職を置くこととなりました。初代理事長は徳丸實、その後、五十嵐正紘、江上経誼、鈴木英太郎、一般社団法人となった2016年1月からは会長として横田俊一郎と、理事・監事として学会の前身である研究会の立ち上げから中心的にかかわってきた錚々たる方々が理事長・会長職を務めてこられました。それが、前任の吉永会長は2006年から第5期の理事として、私は2009年から第6期の理事として学会運営に関わる立場となった、学会の創生期にかかわってない第二世代の会長に移行する最初の役をお引き受けすることになりました。会長就任にあたり、改めて設立時から今日に至る歩みを振り返り、これまでの学会の歩みを糧に会が発展していく、そういう方向に目を向ける時間と考え、1年間の任期を全うしたいと考えています。
本年の第32回年次集会のテーマ、および同名の特別シンポジウム「次世代へのバトン」はまさに時宜を得たものであり5名の方のご講演から、本会にかけた新鮮で熱いそして強いメッセージを受け取ることができました。また、研究会発足の8年目には会誌が創刊され、読み返すことにより創生期の熱い、突き動かされる思いを読み取ることができます。改めて、日々の臨床の中に発する疑問を解決し医療の向上に資する、日常診療に根ざした総合の視点からの研究の重要性、その発表の場を提供する年次集会、地方の研究会、学会誌の役割を認識しました。
現在、本学会には6つの部会の下に18の委員会が、および独立して倫理委員会が設置されています。委員会によってはさらに複数の検討会等に分かれて活発な活動が行われています。最近では教育部会内の、医学生・若手医師支援委員会、生涯教育委員会に作られた自己学習プログラム検討会などが活発に活動しており活動の幅が広がっています。また、当学会の大きな特徴として、メディカルスタッフの参画があります。多職種が参加する年次集会はその象徴でもあります。一方で、規模の拡大・会員数の増加に伴い設立時からの理念である、すべての会員が「ただ聴いて帰るだけでなく、自ら発信する」学会であることが難しくなってきています。
本学会では、日々現場に向き合っている皆様が主役です。皆様にはそれぞれが情報を発信する・情報を共有する立場でご参加いただくことを願っています。本学会は皆様の研究、発表、さまざまな活動を支援いたします。引き続きまして日本外来小児科学会をよろしくお願いいたします。
2023年9月
一般社団法人日本外来小児科学会 会長
稲光 毅